FC2ブログ

縮小の時代

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

南京大虐殺論争の愚

名古屋の河村市長が「いわゆる南京大虐殺はなかったのではないか」と発言して波紋を起こしている。石原都知事や桜井よしこなどは以前からの「南京大虐殺はなかった」派である。
だが、公の立場にある人間がこの種の論議をするのは、自らの愚かさを宣伝しているようなものだ。

「大虐殺はなかった」派にしろ、「あった」派にしろ、たいていは自分が当時南京にいて事実を自分の目で見たわけではない。自分の目で見たのでない限り、大虐殺があったかどうか断定するのは不可能である。日本人として、大虐殺が本当にあったすれば非常に残念であり、なかったと信じたい気持ちは理解できるが、それは願望である。願望と真実を取り違えてはいけない。

逆に、中国人にすれば、旧日本軍=残虐鬼畜という教育が現在も徹底している(公式には悪者は過去の日本軍国主義だが、現実には現在の日本人敵視にも結びついている感は否定できない。日本人と接したことのない中国の子供が日本人という言葉を聞いてまず思うのは悪い人ということのようだ。これは実際に小学生の子供を持つ中国人から聞いた話である)。 したがって、南京大虐殺は真実であったと思いたい中国人は少なくないだろう。当時の南京で日本軍の行為を見聞きした人でも、それを誇張する傾向にあるかも知れない。

真実を知るためには、中国と日本の学者および目撃者の協力による客観的な歴史的検証が必要である。しかし、現在は、その客観的な検証が難しいように思われる。日本人の学者にも、原発事故を小さく見せたいと思う学者と同じように、出来るだけ事が小さくあって欲しいという願望が働くかも知れない。日本人学者はできるだけ客観的な立場になろうとすることができても、中国の学者や市民にとっては極めて困難だろう。中国では現在なお物事、特に日中近代史に関しては見たこと思ったことを正直にありのまま発言できる状況にはないのである。現在、日中共同研究という声を聞くこともあるが、まだ当分の間、客観的な共同研究は不可能だろう。

古今東西、外国の軍隊に侵略された都市は多く、日本軍に侵略された中国の都市も多い。それなのに、とりわけ南京だけが日本軍による大虐殺があったと言われるのは、何らかの虐殺行為があったのかも知れない。それが30万人もの大虐殺だったかどうかは、戦後の一般日本人には知る由もないが、虐殺の大小については、どこで大小の区切りを付けるかも問題だし、区別してもあまり意味がない。たとえ100人、いや10人であっても、虐殺行為があったとすれば日本人として首を垂れて謝るしかない。殺された人の遺族にとっては、1人だろうと30万人だろうと同じことである。当時を知らない日本人が大虐殺でなかったといくら主張したところで、被害を受けた中国人の神経を逆なでするだけだ。

南京大虐殺の真実については、日中協力して客観的、学問的な研究ができる日が来るまで待つしかないのである。いつそれが可能か、今のところはわからないが。

それまでの間、何もかも中国人の言うことが事実だと認める必要はないが、それが事実でないと不確かな証拠や理由を以て反論しても何の益にはならない。感情的に否定しようとすればするほど、中国側もまた感情的にかたくなになるだけである。客観的な研究結果が出るまでは、虐殺があったとかなかったとか、規模がどれくらいだとかについては、日本人は口にしない方がよい。中国人が南京の事を持ち出したら、自分の目で確かめた日本人でない限り、否定も肯定もせず、「そういう話も聞いていますが、日本人として大変申し訳なく思います」と素直に謝り、「今の日本人は二度と戦争や侵略を起こさないように教育されています」と言えばよい。それが中国人の日本人に対する気持ちを和らげ、より客観的に歴史を見ようとする気持ちにつながるだろう。

戦時の虐殺については、被害を受けた側の気持ちを理解しようとすることが大切である。それはまた、自国が受けた残虐への怒りでもある。いくら戦時とは言え、一般市民を無差別に殺戮した広島長崎の原爆、東京大空襲なども、南京大虐殺に負けず劣らず残虐な行為である。まだ小学校に上ったばかりの私の兄と就学前の姉も静岡の空襲で大やけどを負った。原爆はまだ生まれていなかった人間にまで多大な被害を与えた。南京大虐殺はなかったと感情的な主張をしてやまない人達が、広島長崎への原爆投下に対して何の批判もしないのは奇妙に思える。
2012年2月22日


  1. 2012/02/22(水) 22:41:40|
  2. 政治
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<秋入学より入試の改革を | ホーム | ロシア極東の開発はよい事か>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://shitou23.blog.fc2.com/tb.php/95-8d2aab30
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

石田靖彦

Author:石田靖彦

フリーエリア

最新記事

----------

過去の記事一覧

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (15)
環境 (20)
エネルギー (29)
原発 (45)
伝統文化 (0)
科学と技術 (21)
政治 (12)
政治・社会・経済 (48)
文化 (3)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。