FC2ブログ

縮小の時代

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

宇宙開発が看板政策 ― 子供じみた夢か、軍備目的か

野田新首相が描く政権構想の看板政策は宇宙と海洋の開発、新田園生活圏構想、グローバル人材育成の強化という「三つのフロンティア論」で、中でも海洋・宇宙開発に執着しているそうだ。現在の宇宙政策が文科省や経産省など複数政庁にまたがっていることを疑問視し、司令塔的な組織を作って小型衛星やロケット開発を進め、技術を民間に転用するのが目的だそうだ(以上朝日新聞9月1日による)。

三つのフロンティア論の中で、名称から最も注目すべは新田園生活圏構想で、将来の持続可能な社会づくりとどう関係するか、期待を抱かせる。新首相にこんな構想があると思いもよらなかったが、朝日の記事には説明が全くない(ということは、朝日はこれには宇宙開発ほどの関心がないということか) 。一応、今後の報道に注目することにするが、同じ人間による宇宙開発という子供じみた構想からすると、あまり期待できる内容ではないかも知れない。

行き過ぎた経済拡張主義の矛盾をなくし、利用できる化石燃料や金属の量が年々減少してゆくことに適応するため、これからは経済の規模や構造の適正化を図って行くことが何よりも大切だという時に、小型衛星やロケット開発がなぜ重要なのだろうか。

宇宙の研究は、宇宙や物理の根本をより深く理解するために必要でもあるし、興味深くもある。宇宙や物理の真相を知ることは、人間の哲学や生き方にも影響する。宇宙望遠鏡や惑星探索に力を入れることは大いに賛成したい。それらは知識欲、知的好奇心、精神文化のためであって、経費がかかっても、経済規模全体から見れば僅かなものだし、価値ある出費である。

しかし、小型衛星やロケット開発が経済に寄与すると考えたら大間違いだ。必要以上にたくさんの衛星を打ち上げてどうしようというのか。地球外に資源を求めることなど、持続可能な社会という観点からは必要でもするべきでもないし、運搬のエネルギーを考えただけでも実現不可能な荒唐無稽である。宇宙観光も、それが経済を活性化させるほどの規模になったら、エネルギーの膨大な浪費となり地球環境を破壊するだけだ。これらの構想は、まるで科学や社会の原理を全く理解していない無邪気な子供の夢のようなものである。

衛星やロケット技術の民間への転用も、そういうこともあるだろうが、あまり多くは期待できない。必要な民間技術があれば、直接その技術開発を行った方が効率的だろう。衛星やロケット技術の近年の向上は、これらが独自に先行したためでなく、むしろ、先に進歩した民間技術を転用したからではないだろうか。

衛星やロケットを政策の看板にすることに意義があるとしたら、学問に力を入れるという意味においてである。経済成長のための学問ではなく、将来の破滅が約束されている経済拡大主義と決別して、精神文化の高揚を大きな目標にする、という意味なら大いに結構である。だが、それなら宇宙だけでなく、もっと広い学問や芸術全体が構想の範囲になるはずだから、どうもそうではなさそうだ。

そうすると、宇宙開発に力を入れる真の目的は、軍備にあるのではないかという疑いが濃厚になってくる。子供じみた夢にせよ、軍備のためにせよ、こんなことを看板政策に持ち出す人に、我々の将来を託せるだろうか。
2011年9月1日


  1. 2011/09/01(木) 09:59:09|
  2. 科学と技術
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<「死のまち」も「当分帰れない」も正しい表現 | ホーム | 景気回復はいいことなのか>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://shitou23.blog.fc2.com/tb.php/75-01d225e7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

石田靖彦

Author:石田靖彦

フリーエリア

最新記事

----------

過去の記事一覧

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (15)
環境 (20)
エネルギー (29)
原発 (45)
伝統文化 (0)
科学と技術 (21)
政治 (12)
政治・社会・経済 (48)
文化 (3)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。