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京都大文字送り火の薪

大文字送り火の薪に、東日本大震災の津波被害を受けた陸前高田市の松を使うというNPOの提案が7月初めからあった。NPOは、放射能の汚染は想定していなかったようだ。数日前、送り火を実施する保存会は、放射能汚染の心配から、一たんは使わないことに決めたが、その決定に対して批判や抗議の声が相次いだので、一転して、使うことにした。ところが、その後実際に放射能を測定したところ、表皮から1kg当たり1130Bqというかなり高いセシウムが検出されたので、再度決定を覆し、使わないことにした。

この決定を陸前高田市長は強く批判しているそうだ。朝日新聞も、この決定に批判的な報道をしている。一方、毎日新聞は、陸前高田市長の憤りにも触れつつ、「五山の送り火は伝統的神事という性格を持つ。放射能がけがれのようにとらえられたのではないか。今回の件は科学の問題ではなく、文化の問題となっている。解決も文化的に行うべきで、犠牲者への追悼のセレモニーをやった方がいい」という、安斎育郎・立命館大名誉教授(放射線防護学)の談話を載せている。

そもそも、放射能で汚れた可能性がある薪は使わないという最初の決定に対して抗議が殺到したこと、新聞もこの抗議が正当であるかのような報道したことがおかしい。保存会は最初の決定を覆す必要ななかった。

多少放射能で汚れていても、影響のない程度なら被害を受けた地方の心情を思って使うべきだという抗議は、善意から出たものかも知れない。だが、それを安易に受け入れることは、放射能汚染に関する現状をそのまま受け入れることに繋がる。行政は放射能の危険をいまだに過小評価している。基準値をご都合主義で勝手に緩め、食品類の検査や汚染管理も徹底していない。各地の放射線汚染状況の調査も不十分で、一部の強制避難地域以外では汚染地の住民もほったらかしにされている。

汚れているかも知れない薪を気にせず使えということは、このようないい加減な放射能対策をそのまま受け入れよということに等しい。逆に、大文字送り火のような著名な行事で汚れたもの(またはその可能性のあるもの)は使わないと決定することが、放射能汚染の管理や対策にもっと真剣に取り組むべきだという正当な世論を高めることにつながる。

京大の小出さんは、放射能で汚染された食品は子供に食べさせてはいけないが、大人は食べるべきだと言った。それは、原発のような危険なものに手を出してしまった現代人としての責任をかみしめよ、という意味で、それなりのちゃんとした筋がある。しかし、汚れた薪を燃やして出る放射能の灰は、京都中の人間が、幼児も妊婦も含めて吸い込む。燃やした人間だけが直接の被害を受けるのではないから、汚れた食品を食べるのとは違う。

送り火は神聖な伝統行事である。その行事に、人間が欲で造り出した放射能で汚染されているかも知れない薪を使いたくないというのは、一つの立派な見識であり、抗議の余地はない。普段の食事には多少の放射性物質を含んだ食材をやむを得ず使う人でも、特別の意味がある大切な料理の場合には汚染の心配がないきれいな食材を使いたいと思うのではないだろうか。それを怪しからんと言って非難するのは見当違いである。

放射能の問題は単に健康に影響があるかないかの数値だけではない。いかに基準以下の低放射線でも影響が皆無ではないという点は除いても、人工的な放射能の存在そのものを許さない、という見解があってもよいはずだ。物事を何でもリスク論に還元してしまい、リスクは小さいから許容すべきだ、という半ば強制的なリスク押し付けが横行している。このようなリスク論の問題については、5月8日の記事に書いた。
(ここを参照)
2011年8月13日

  1. 2011/08/13(土) 12:41:47|
  2. 原発
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