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縮小の時代

家庭用蓄電システムはムダが多い

日産自動車は、電気自動車の蓄電池を利用した家庭用蓄電装置を開発して今年度中には発売すると発表した。(asahi.com 8月2日)
蓄電池を用いて家庭の電力使用を最適管理する方法はスマートハウスあるいはスマートグリッドなどという名で電機、通信、住宅業界が推進しようとしており、電池としては電気自動車の利用が考えられている。しかし、これらに将来性があるとは思えない。

第一に、大量の電力機器を必要とする。今ででも大して困ることはないのに、各家庭に大容量の高価な蓄電池や制御システムを余計に設置させる。大容量の電池はリチウムや希土類元素など、日本にない希少資源を大量に使う。結局は、膨大な天然資源を必要とし、地球環境への負担を高める。化石燃料消費が却って増える可能性が高い。

第二に、自動車まで電気で動かせば、電力需要がますます高まる。例えば、三菱i-MiEVのエネルギー消費率はカタログ値で8km/kWh程度だから、実走行では6-7km/kWhだろう。1か月に600km走ると100kWhが必要であり、これは平均的な1か月家庭電力需要300kWhを30%増加させる。これは原発が必要だという声に結びつくおそれが大きい。太陽光発電の余剰電力を蓄電するという話もあるが、太陽光発電にはそれだけの能力はない。
同じ原油由来でも、電気自動車の方がガソリンやディーゼル者よりエネルギー効率が高いという話があるが、眉唾臭い。生産エネルギーも多い。経費の高いことが、化石燃料の大量消費を示唆している。

第三に、大容量蓄電池は高価である。電気自動車は非常に高いし、開発中の家庭用据え置き型蓄電池でも、今は250万円(NEC)で、量産して下がっても100万円程度という。普及の目安は40-50万円というが、それでも高い。電池の他に制御系統にもかなりの費用がかかるだろう。
停電は皆無にはできなくても、頻繁に起きるものではなく、何年に1度でしかない。停電しても短時間で、一般家庭では大して困ることはない。長時間の停電でも、困るのは冷蔵庫の中身が腐ることぐらいだろうが、それほどの長時間の停電なら家庭用蓄電池も持たない。結局、何十万円もの投資に比べて、利益はあまりにも小さい。

第四に、大容量蓄電池が使う大量の希少金属や希土類元素は、外国依存である。世界情勢は将来長く安定が続くという保証はなく、現在はむしろ不安定の方向に進んでいる。外国への依存度をますます高めるのは非常に危険で、持続可能性がない。

第五に、夜間の安い電力を蓄電すると経済的だという宣伝もあるが、夜間電力が安いのは、原子力発電のためである。原発は出力調整が困難で、夜間でも全力運転し、全体の発電量の増減は火力発電や水力発電で調整する。原発がなくなれば昼間も夜も電力料金の差はなくなるだろう。

第六に、家庭の電力依存をますます高める。オール電化住宅や、なくてもたいして困らない無駄な機器がますます氾濫して、地球の資源を浪費する。何から何まで電気にまかせても、却って不便でつまらない生活になるだけだろう。

このような無駄の多いことを企業が推進しようとするのは、それが大量消費、経済成長社会の方向に位置するからである。それは、ますます持続不可能な社会になることでしかない。
2011年8月3日


  1. 2011/08/03(水) 21:44:50|
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