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縮小の時代

中国新幹線の事故と原発

中国の新幹線が大事故を起した。中国では以前から、見てくれだけは立派だがずさんな建築や土木工事が全国的に蔓延しており、中国人自身がこれを「豆腐渣(おから)」工事と揶揄している。中央官僚も地方官僚も含めた広範な腐敗構造が原因のずさん工事である。その中国で、経済成長を急ぐあまり、新幹線が猛烈な勢いで建設拡張されているのを見て、必ず大事故が起こるだろうと危惧していた矢先である。しかも、先進国に負けない技術力を示したいためか、外国から導入した技術をどこまで消化したかどうかわからぬうちに、独自の開発と謳っていることも、心配を一層大きくしていた。

中国では、導入した新幹線技術を完全に消化し、独自の技術を開発するに至ったとされている。しかし、技術はそんなに短期間には消化できない。技術の消化とは、技術開発能力のある人材が十分に育ち、実験や試験の設備が整うことだから、何十年もかかる。外国から完成した技術の図面と生産機械を買って自国で生産できるようになったことが技術の消化ではないのだ。

中国鉄道部には「潜規則」(秘密の規則)があるそうだ:貨物車の事故は報道し、客車の事故は報道しない;死者がなければ報道していもよいが、死者があったら上層部の同意を得て報道すると(大紀元中文版7月25日)。
事故車両は、現場はぬかるみで事故処理がやりにくいからという理由で、直ちに現場に穴を掘って埋められてしまった。中国鉄道部の王勇兵報道官は、これは鉄道部の決定ではないといいつつ、理解を示し、中国の高速鉄道技術は先進的で合格だと語っている(中国人民網7月25日)。

新幹線事故に対する中国政府の対応は、原発事故に対する日本の対応とそっくりである。事故隠しやごまかしは、次の事故を約束するようなものである。

日本の鉄道関係者は、日本では考えにくい事故だと言っている。確かに、日本では新幹線開業以来50年近くなるが、未だにこれといった人身事故が起きてはいない。細心の設計、実験の繰返し、品質管理の行き届いた生産および安全重視の運転管理という努力の賜物であり、快挙といえば快挙である。しかし、だからといって将来も絶対に事故がないとは限らない。

日本では考えられない事故などと言い放つのは、原発の安全神話と大同小異である。このような傲慢が事故の原因になる。如何に最新の技術を盛り込んでも、事故はいつでも起こり得る。鉄道関係者もそれを十分に心得ているからこそ、天候の状況やちょっとした地震でもしばしば運休しているのである。中国の事故から謙虚に学び、今後一層安全重視の体制を強化する必要がある。

福島原発事故も、原子力の利権に群がる政財学界の腐敗構造と隠蔽体質がなかったら、防げたかも知れない。あるいは、これほどの大事故にはならなかったかも知れない。日本の新幹線が無事故で来られたのも、原子力村ほどの腐敗や隠蔽がなかったことが幸いしているのではないか。

では中国の原発はどうだろうか。原発だけが中国の腐敗、隠蔽、ずさん工事の例外であるという保証はない。その中国が、新幹線と同じように、急速な原発拡大を目指している。中国だけでなく、民主主義より経済成長を優先する多くの国々が原発拡大を計画している。事故の確率は今後何十倍にも何百倍にもなりそうである。いったん事故を起こせば、世界中が被害を受ける。

日本や先進国が原発を捨てない限り、途上国の原発計画に反対することはできない。日本や先進国が原発を続けるということは、仮に万全の安全管理が可能だっとしても、危険を世界にばらまくことである。
2011年7月25日

  1. 2011/07/25(月) 13:01:46|
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