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放射線の怖さ

放射線を怖がるのは正しいと昨日の記事に書いた。低線量放射線の健康影響については、一定量以下なら全く影響ないという意見と、いくら少量でも危険はなくならないという意見に分かれている。原発推進派はしきりに「影響ない」論を唱えているが、国際的には、危険(例えば発癌率)の確率は低線量でも直線的であるという見解が採用されている。つまり、どんなに少ない放射線でも、危険の確率は下がるが、絶対安全とは見ないのである。疫学的なデータが不十分だから、完全に証明済みではないが、わからない事は安全側に考えるという予防原則から、当然の見解である。

疫学的に証明が難しくても、理屈の上からも、放射線の危険は確率的であるように思われる。化学物質や病原菌の健康影響に閾値があるのは理屈の上からも納得できる。一定量以下の病原菌なら、体内の抗体が駆除できるだろう。毒物でも、破壊される細胞や組織の分子の数が一定以下なら、修復可能だろう。

しかし、放射線の影響は、これらとは異なる。放射線は、いくら少量でも「薄まる」のではない。例えば1000人当り1個の銃弾を受けるとする。1個の銃弾が1000に分割されるのなら、1人が受ける銃弾は1000分の1個だから、被害は僅少で、致命傷にはならずに治癒するだろう。しかし、実際には、999人は全く銃弾を受けず、1人だけが丸々1個の銃弾を受けるのである。放射線の被害は、銃弾を受けるようなものである。

しかも、放射線のエネルギー(1個の銃弾の強さ)は非常に大きい。1ベクレルの放射性物質は、1秒間に1回核崩壊をしてその度に放射線を出す。1回の核崩壊で出すエネルギーは、例えばセシウム137の場合、β線が約55万eV(電子ボルト)、γ線が約66万eV、合わせて121万eVである。ヨウ素131ではβ線約57万eV、γ線約36万eV、合計93eVである。(原子力資料情報室ミニ知識より計算)。

これに対して、DNA分子を構成する原子間や分子間の結合エネルギーは数eVに過ぎない。つまり、たった1個の核崩壊から出る放射線は、1秒間に何十万もの分子結合を切断する力があるのだ。

震災以後、日本で決められた野菜など食品の暫定基準は、1kg当り500ベクレルである。これをたった1g食べただけでも、0.5ベクレルの放射性物質を吸収し、これが体内に留まって、1秒間に数十万のDNAを傷つけ続ける力のある放射線を出し続ける。1gでもこんなに多いのは、1gに含まれる原子の数が膨大だからである。

核崩壊で放出される放射線のすべてが分子を破壊するわけではない。放射線も体内の全DNAに平均して照射されるではなく、局所的に濃い薄いがあるだろう。何もせずに通り抜けてしまう放射線もあるだろう。一つ一つのDNA分子を見ても、被害を多く受けた分子も、少ない分子もあるだろう。ある分子に衝突して害を与えるかどうかは、確率の問題である。

更に、放射線によって傷つけられたDNA分子がすべて癌になるわけではない。被害を受けた場所によってはあまり大きな害にならない場合もある。修復されたり、或いは、死んだDNA分子として排出されることもあろう。

しかし、中には放射線を受けて異常になったDNAが修復も排出もされず、そのまま増殖する場合もあるだろう。これらはすべて確率の問題だが、放射線のエネルギーの大きさを考えると、決して安心できることではない。特に、細胞やDNAが盛んに増殖される胎児や幼児の場合、影響が大きいのは当然である。

異常をきたしたDNAは、奇形になるかも知れない。また、体の各部が成長する時、普通は器官が完成すれば増殖は止まる。DNAには、成長を中止させる信号がある。しかし、この信号部分が放射線によって異常になっていると、成長が止まらず、いつまでも増殖し続け、癌になる。

以上から、低線量でも放射線の影響は確率的であり、しかもその影響は非常に恐ろしいことがわかる。「放射線が健康には影響のないレベル」などというのは、理屈の上からも納得し難い。

よく、低放射線量が健康に影響ないことを説明するために、宇宙線や地中から出る自然放射線が引き合いに出される。しかし、自然放射線の程度でも安全だという証拠にはならない。現在、世界には膨大な数の癌患者がいる。発癌の原因が自然放射線にあるかも知れないのだ。自然放射線の影響ではないと証明することはおそらく不可能だろう。したがって、どんなに微量でも、自然放射線の上に更に人工的な放射線を加えることは、大きく危険を増すことになる。

放射線を心配するな、というのは、既に被曝してしまってどうしようもない人に対してだけ言うべきである。低線量なら確率は小さいし、心配し過ぎてよい事はないからである。しかし、まだ被曝していない人に対して、少しでも被曝を避ける手だてがある限り、これくらいなら被曝しても心配ない、などとは絶対に言ってはいけない。人工放射線の被曝は限りなく0にする努力が必要である。
2011年7月15日


  1. 2011/07/15(金) 14:35:13|
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