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縮小の時代

中国新幹線の特許

中国が新幹線の特許を日米欧など5か国に申請したことに対して、日本の国内では、日本が供与した技術なのにと非難の声が上がっている。中国側は、すべて自主開発で問題はないと反論しているそうだ(asahi.com 7月7日)。

だが、これは意味のない非難である。自動車でも、家電製品でも、新幹線でも、全体が一つの技術ではなく、そこには基本原理からちょっとした部分的な改良まで、無数の個別技術が組み合わされている。そのほんの一部のちょっとした改良でも特許申請ができるから、実際にどのような技術を特許申請したのかが具体的にわからなければ、騒いでも仕方がない。

技術を供与された者が、ほんの少し加えた改良について特許を取ることはいくらでもあり得るし、あって当然である。日本人も今までそうして来た。そうやって初めて独自の技術力をつけて行く。技術供与した相手が改良して特許申請することを怪しからんと非難するのは、相手はいつまでも供与される側に留まっていなければならないと言うのと同じで、傲慢な支配者論理そのものである。 相手が学んで成長することが嫌なら、初めから技術供与も共同開発もするべきでない。

技術を供与した日本の川崎重工の社長が「契約違反があれば何らかの対応をする提訴する」と述べているようだが(日経電子版7月4日)、これは共同開発契約中の、発明が生じた時の取扱いに関する問題である。しかし、一般に共同開発では、発明の帰属は難しい問題である。いかなる発明も特許の申請は連名で行うなどという(恐らくはあり得ない)取決めでもない限り、発明者や特許申請者の名義を単独にするか、連名にするかは、一つ一つの発明ごとに判断せざるを得ない。これは、契約した当事者の間の問題で、外部が口をはさむ問題ではない。

中国が特許申請した技術が本当に日本が供与した技術なら、何も心配の必要がなく、放っておけばいい。明らかに既存の技術なら特許は通らないし、仮に特許が通っても、それだけでは大して効力がない。特許を取った中国が誰か(A社)を特許侵害として訴えた時に、裁判所で改めで審理されるから、そこでA社は特許の無効を主張すればよい。もしそれが川崎重工の既存の技術なら、川崎重工がA社を特許権侵害で訴えればよい(川崎重工がその国で特許を取っていればの話だが)。

今回の中国の新幹線特許騒ぎは、相手が中国ということで、感情に流れ過ぎているようだ。
2011年7月8日

  1. 2011/07/08(金) 14:42:39|
  2. 科学と技術
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