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縮小の時代

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自由貿易より保護貿易と地産地消

経済はますます全球化の方向に進んでいる。WTO自身が自由貿易推進を目的としており、その他にも個別の地域や国の間で一層の自由化のための協定がある。管首相が加盟を検討している環太平洋経済連携協定(TPP:Trans-Pacific Partnership)は、工業、農業、サービス業などすべての品目の関税を全面撤廃しようとするものである。

経済全球化の目的が国際競争力のある一部の企業の利益だけにあることには疑問の余地がない。保護貿易は、どの国でも、もともと輸入による自国産業への悪影響を防止するためにあった。政府を動かす力のある国内産業が国際競争力をつけると、一層の輸出拡大のために自国の貿易障壁を取り除いて自由貿易を推進する。しかし、国内の産業が皆等しい国際競争力を持つわけではない。国際競争力の弱い産業や中小企業は、貿易自由化によって大きな不利を被る。弱い産業を犠牲にして強い産業を握っている大金持ちに一層の金儲けをさせる、それが自由貿易主義である。

工業未発達の国にとっての国際競争力は、天然資源と安い労働力である。便利な技術製品を輸入する外貨を稼ぐために、大量の天然資源を輸出し、安い労働力を提供する。このような国が自由貿易を推進すれば、利益を得るのは、資源や労働力を支配している一部の上層部だけで、天然資源はますます疲弊し、地場産業の発達はますます不利になり、一般の人々はますます困窮化する。

外国との貿易だけではない。一国内においても、経済の広域化は大企業にとっては有利だが、地域の小企業にとっては不利が多い。こうして日本の地方も疲弊する一方である。

もともと、生物は身近な自然環境の生産能力に依存して生きるものである。そうして生物と環境は一体となって生態系を形成する。それが「環境との共生」の本来の意味である。人間もまた同様である。工業文明、特に高速交通機関が現れる以前はそのように暮らしてきた。身近な自然環境とは、歩いても1日で往復できるほどの範囲だっただろう。遠方との交易はぜいたく品や不要不急の産物に限られていた。

生産力が伸びてくると、多少は遠方から運ぶ資源も利用したが、生活が全面的にそれに依存するようなことはなかった。それぞれの地方には、それぞれ環境の応じた衣食住の文化があった。それだからこそ、人々の意識は常に環境と一体であり、環境が大切にされ、持続可能な社会を保つことができた。

しかし経済が広域化するにつれて、人間は自分の住む土地以外の環境の生産力により多くを依存するようになった。現在の生活必需品で、1日で歩いて往復できる範囲で造られているものは非常に少なく、殆どは何百キロも離れた遠方から運ばれたものではないだろうか。アメリカでは、食料品でさえ、平均移動距離は1000kmを超えているという。

広域経済は、運搬という余分な作業による環境破壊もそうだが、それ以上に重要な問題は、自分の見知らぬ遠い土地の環境の生産力に依存するという、生物の本性から逸脱した生き方そのものにある。見知らぬ土地の環境などには何の関心も持たない。その環境がダメになれば、生産企業がまた別の資源供給地を捜してくれると能天気でいられる。

それだけではない。化石燃料にせよ、希土類(最近まで普通に使われていたこの日本語が今ではレアアースなどという外国語にとって替わられたが、私は日本語を使いたい)にせよ、一部の国にしか偏在しない資源への依存度が最近ますます高まっている。このような生き方が持続可能であるはずはない。

地産地消は普通、農産物に対して言うことが多い。土地から得た物の廃棄物を元の土地に返すという資源循環によって、土地の生産力を持続させることである。少なくとも食糧については、地産地消は持続可能な社会であるための最も重要な条件である。だが、農産物だけでなく、日常の生活必需品すべてについても、できるだけ地産地消することが重要である。

生活必需品の地産地消は、地域の経済を独立させ、人々の生産活動を充実させ、見知らぬ土地の環境破壊に手を貸さない。これは単なる想像だけの世界、理想の世界ではない。将来は嫌でもそうならなければならないのである。交通のために大量のエネルギーが使えなくなるし、一部の国に偏在した貴重資源にあまりにも多くを依存した生活は成り立たなくなってゆく。

自由貿易より保護貿易の方が大切である。自由貿易は経済強者の味方に過ぎないが、保護貿易は農業、地域の産業、中小企業、地域の経済、地球環境と地域の環境、伝統文化を守る。将来の人間にとってどちらが大切かは明白である。
2011年7月7日


  1. 2011/07/07(木) 15:04:56|
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