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バイオマス発電の買取は環境を破壊する

管首相が考えている再生可能エネルギーの固定料金買取制度は、太陽光発電、風力発電、地熱発電の他にバイオマス発電も対象になっている。太陽光発電や風力発電の買取制度の矛盾は6月18日記事に書いたが、バイオマス発電の買取制もそれに劣らず問題だ。

バイオマスは、密度の薄い太陽エネルギーを、長い時間をかけて蓄積したものである。世界の再生量は膨大だという人もいるが、実際はそれほど多くはない。スミル(*1)によると、光合成によって生成されるバイオマス量は熱帯雨林でも5-15t/haで平均11 t/ha(1.1kg/m2)という。平均発熱量を15MJ/kgとすれば、1m2当り16.5MJとなり、1年かけてやっとガソリン(34.6MJ/L)の0.48L分にしかならない。これから発電すれば、発電効率を40%としても6.6MJ/m2 (1.83kWh/m2)である。一般家庭の平均年間電力消費3600kWh(電事連による)を発電をするには、森林面積約2000m2を必要とする。
(*1)SMIL, Vaclav "Energy in Nature and Society" MIT Press, 2008, p73

一方、日本の耕地面積は461万ha、世帯数4900万(統計局日本の統計2011)、だから、1世帯当たりの耕地面積は約940m2である。したがって、1世帯の電力消費をバイオマス発電で賄おうとしたら、現在の2倍もの栽培面積を新たに探さなければならない。今後食糧の自給率を上げてゆかなければならないことを考えると、国内にはその余裕は皆無である。外国から燃料木材を輸入することも勿論できない。今でさえ目に余る森林破壊が続いているのである。

工業文明以前でさえも、木材の過剰伐採で滅亡した社会があった。主な用途は農具、装飾品、武器など金属を利用するための燃料で、現代社会のエネルギー需要と比べたら僅かなものだったろう。それでも周りはハゲ山になってしまった。江戸時代は、非常に苦労して森林を守ってきた。注意を怠れば容易に破壊されることをよく知っていたからである。

バイオマスは、新生材の他に廃材や残渣を含めても、持続的な年間利用可能量は年間再生量を超えられない。それ以上燃やせばたちまち蓄積が尽きてしまう。エネルギー源に使えるバイオマスの量は非常に限られているのである。バイオマス発電した電気を高価買取することになれば、利益のため無理に燃料を集めようとするから、ただちに燃料不足になる。

残渣、落葉、小枝などは、本来はなるべく土に返すべきものである。それを皆燃やしてしまえば、土地は疲弊してしまう。江戸時代には、河川の上流に近海漁業を守るための森林「魚付林」を設けた。この森で土地が肥え、栄養分が海に流れて漁場を守るのである。我々は、そういう苦労のおかげで守られた森林の恩恵を現在も受けている。これを壊してはならない。

廃材や残渣はエネルギー源ではあるが、密度が小さいことも発電には不適である。1kg当りの発熱量が小さい(木材15MJ、石炭26.6MJ、原油38.2MJ、LNG54.5MJ)だけでなく、資源が広い地域に分散している。発電に使うには、あちこちから少しずつ集めて自動車で運ぶことになり、エネルギー損失が大きい。したがって、これを発電に使うのは、非常に効率が悪い。

以上により、バイオマス発電の高価買取は環境を破壊するだけで、電力供給には何の足しにもならない。現在の工業社会に必要なことは、新しいエネルギー源を求めることではなく、エネルギー需要を削減することなのである。
2011年7月4日


  1. 2011/07/04(月) 13:28:25|
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