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縮小の時代

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財やサービスの価格は化石燃料消費を反映する

環境対策に経費を惜しむな;
今後の経済成長の中心は環境ビジネスで;
住宅用太陽光発電の余剰電力は電力会社が高い価格で買取るべきだ;
などは、環境派、良識派と見なされる人がよく主張することである。

これらの考えの背景には、財やサービスの価格と環境負荷とは互いに別物で関係がないという、現在の主流経済学の基本になっている考え方がある。しかし、それには矛盾を感じざるを得ない。財やサービスの原価は、必ずその生産に消費された化石燃料の量を反映しているはずである。詳しくは「縮小社会研究会第8回資料3『試論:お金のかかる環境保護は本物か』」に出ているが、非常に重要なことなので、あらためて簡単に説明する。

生産とはエネルギーを使って物質に手を加える(加工する)ことである。物質資源をエネルギーを使って生産(採取)するのは、物質が希少だからである。エネルギーを使うからこそ生産であり、生産するから交換が生まれ、市場が生まれる。エネルギーを全く使わないで手に入る物の原価は無料である(海岸でたまたま拾った珍しい貝殻など、これに利潤をつけて売ることはできるが、経済行為としては無視できる)。

したがって、財やサービスの原価の源をたぐって行けば、エネルギーの費用に行き着くはずである。ここでは、原価とは生産の物理に関係した費用を指し、それ以外はすべて利潤と呼ぶ。生産に使われるエネルギーを労働エネルギーとそれ以外の外部エネルギーに分けると、現代の工業社会では大部分が外部エネルギーで、労働エネルギーは無視できるほど少ない。したがって、人件費のうち、物理的な労働エネルギーの生産費(最小限の食糧費)は僅かで、残りのほとんどは外部エネルギーの費用である。

外部エネルギーは化石燃料、原子力、水力、風力、太陽光などだが、一次エネルギー源はもともと無料だから、それらのエネルギー費用はすべて化石燃料の費用に帰着する。なぜ水力や原子力でなく化石燃料かというと、化石燃料は化石燃料だけで再生産できるが、他のエネルギーはすべてそれ自身だけでそれ自身の再生産ができず、必ず化石燃料を必要とするからである。バイオマスも化石燃料に準ずるが、現在は生産エネルギーとしてはほとんど使われていないので無視できる。

人件費は労働エネルギーの生産原価と利潤に分けられるが、両者を明確に分離することはできない。いずれにしろ労働者の生活に使う財やサービスを買う費用だから、その行先は誰かの人件費と化石燃料費である。その人件費はまた誰かの人件費と化石燃料の費用になる。これが繰返されるから、結局、人件費のすべては最終的には化石燃料費に行くつく。

先進国の人件費が高いのは、その国の化石燃料の消費が多いからである。安くて豊富な化石燃料を使って労働生産性が増し、大量な財が造られるようになると、それを分配する(売る)ために賃金水準を高くする必要がある。人件費が高いのは化石燃料が高いからでなく安いからというのは逆説的だが、もし化石燃料が高騰して消費量が激減すれば、財の生産が減り、賃金も安くなる。生産に使われる労働エネルギーの比重が大きくなれば、人件費に占める食料費の割合も大きくなる。

以上により、財やサービスの原価は、人件費にせよ、外部エネルギーや物質の費用にせよ、いずれも化石燃料の消費量を反映していることになる。ただし、生産が物価水準の異なる多国に跨っているため、原価とエネルギー費が一対一の関係にあるわけではない。財Aが財Bより安くても、エネルギー生産性が悪く物価水準の低い国から輸入したものなら、却ってエネルギーを余計に使っているかも知れない。とはいえ、原価が化石燃料の費用を積み上げたものであることに変りはない。

なお、利潤もまた誰かの所得になり、財やサービスの購入に使われ、最終的には化石燃料の費用に向かう。

結局、カネを使うことは、その用途が環境保護であれ何であれ、化石燃料の消費を増やすことである。ある省エネルギー技術が本当に化石燃料の消費を削減するものなら、価格は安くなってしかるべきで、高くつく環境技術、特にエネルギー技術は、化石燃料の削減効果を疑わなければならない。高くても本当に化石燃料消費の削減になるのなら、価格が高い理由と、それが化石燃料の消費と全く関係ないことの証明が必要だが、それは可能だろうか。
2011年6月16日


  1. 2011/06/16(木) 15:27:42|
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