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持続可能とは:発展の持続より社会の持続

このブログの表題の下に、念頭にあるのは持続可能な社会だと書いてある。「持続可能(sustainable)」という言葉は、1980年代以降、地球環境問題の高まりと共に盛んに使われるようになった。地球環境問題の解決目標に関係し、この問題を解く鍵語になっている。ところが、それほど重要な言葉であるにもかかわらず、それが何を意味するのか、どうもはっきりしない。

しかし、中心となる言葉の意味が曖昧では理屈に筋が通る筈はない。同じ言葉でも言う人と聞く人の解釈が異なるのだから、議論は噛み合わず、無益に終る。同じような無駄な論争は、政治やイデオロギーを巡って昔からよく行われている。

地球環境問題がこれだけ世界の関心を集めていながら一向に改善の方向に進まないのは、解決目標である持続可能の意味が曖昧であることが大きな一因であると思う。そこで、持続可能という言葉にどんな意味を与えるのがふさわしいか、考えてみたいと思う。

まず、持続という言葉の第一の問題は「何の」持続かにある。最もよく使われているSustainable Development(持続可能な発展)では、持続すべきものは「発展」である。開発と訳してもよいが、ここでは発展としておく。だが、発展とは何か。それがそもそも問題を混乱させる原因になっている。

有名な国連報告書「我々の共通の未来1987」の定義“持続可能な発展とは、将来の世代が彼等の必要を満たす能力を損なうことなく、現在の必要を満たすような発展である。”にも、発展の定義はない。

発展とは、何か好ましい方向への変化を表す言葉だが、量的拡大の意味でも使われる。そのため、成長(Growth)と混同されやすい。実質的にはどの国の政府もいまだに経済成長を最大の目標にしている。何のことはない、経済成長が環境問題を惹き起こしたにも関わらず、一層の経済成長志向を肯定するために「持続可能な発展」が利用されているのである。前述の国連報告書を読めば、決してそんな風には書いてないのだが、定義だけが一人歩きしてしまった。

そこで、発展が成長の意味ではないことを強調して、発展とは質的な進歩であると定義する人もいる。エコロジー経済学(いわゆる環境経済学とは趣が異なる)の先頭に立っているハーマン・デイリーもその一人である。しかし、何を以て進歩とするかは一概には定まらず、人により、国や地域や民族により、時代により様々である。昨日まで進歩のつもりでいたことが、今日になったら少しも進歩でないことがわかった、などはよくあることだ。技術文明も経済成長も、行き過ぎればみなそうなる。

また、質的変化と量的変化は不可分である。“(自然界にあっては)質的な諸変化はただ物質的あるいは運動(エネルギー)の量的な付加、あるいは量的な減却によってのみ起り得る”とはエンゲルスの言葉だが(エンゲルス「自然の弁証法 上」田辺辰新太郎訳、岩波文庫)、自然界でなくても当てはまることは多い。経済成長を求める人になぜそれが必要かと尋ねれば、経済成長そのものが目的ではなく、それによって生活の質を向上させるためだと答えるに違いない。

もともと、環境を案ずる人達が持続可能という言葉を使いだしたのは、このままではいずれ安心して住めない大変な世の中になる、という心配からだろう。単純素朴だがわかりやすい。したがって、持続すべきものは意味不明な発展などではなく「社会」である。その社会とは安心して住める社会、言い換えれば奴隷制社会でも無法社会でもなく、すべての人間の基本的人権が守られる、公平かつ平和な社会、或いは、すべての人間が満足しうる社会(個人の身勝手な理由による不満は除いて)と言ってもよい。

逆に、安心して住めなくなった社会、不公正が横行する社会、最小限の食糧や生活必需品さえ不足して多くの人が苦しまなければならない社会を崩壊した社会と考えると、持続可能な社会とは、社会を崩壊させる原因を内に持っていない社会と言うことができる。

したがって「持続可能な社会」こそ現代の人類が目指すべき目標である。現在は持続可能な社会ではない。環境破壊という社会を崩壊させる大きな要因を抱えており、しかもそれが拡大しつつある。過去に多くの文明や社会が環境破壊で崩壊したように、現在はそれより遥かに大きな規模で崩壊に向かって進んでいる。
2011年6月11日


  1. 2011/06/11(土) 20:40:14|
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