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縮小の時代

学者は声を出してほしい

今回の原発事故に対する政府、自治体、報道機関などの姿勢は、人の命と健康を守るという、全てに優先すべきことを捨て去り、事実を軽視し、人々の心が原発から離れることを極力抑えようとすることに終始している。その最大の目的は、原発で大きな利益を受ける一部の集団を守るためである。

その姿勢に少なからぬ学者が加担している。これらの学者達は、事故は絶対に起きないという事実にも理論にも反する神話を造り出し、放射線の人体影響に関する現在の世界標準的な科学的知見を軽視し、詭弁を以て放射線の被害を矮小化してきた。これらは、科学も学問も、更には人間の尊厳をも冒涜するもので、このような風潮は、学問を業とする学者にとってはとうてい見逃すことが出来ないはずである。

学問の精神と学者の良心に従って、この風潮に抗議し、原発に対する意見や事故対策について提言している個人は少なくない。しかし、学者の総数に比べれば、余りにも少なすぎる。

学者が連名で提言しているのは、私の知る限りでは2件しかない。実際はもっとあるのに、報道機関には知られなかったか、或いは報道機関が取り上げようとしなかったかのかも知れない。しかし、インターネットメディアでもほとんど報じられなかったことからすると、やはり実際に少ないのであろう。

2件の一つは、4月18日に京大教授達14名からなる「原発事故と今後を憂えるサイエンティスト有志」が管首相あてに出した提言書で、これは連名に加わった教授から直接聞いた。まずは早急に幼児、妊婦の疎開や、学校など子供の生活空間の除染を行うべきであるという、当面の緊急処置についての提言である。全文は安冨氏のブログに出ている。ここを参照

他の一つは福島大学の若手教員有志十数名によるもので、学内の事故対応に対する学長への提言や、福島県知事への要望を行っている。いずれも、科学者の立場から、「安全、心配ない」だけの一方的な見方に偏らず、放射線の人体影響に関してはいまだ未解明で種々な見解があるという現状を踏まえ、公平かつ予防原則に立って具体的な要望をしたもので、極めて公正なものである。内容はここを参照

福島大学教員の連名者は全教員からみればほんの少数だが、事故のただ中にいる大学教員としての、科学的精神と人間としての良心に沿った勇気ある行動に賛辞を掲げたい。准教授ばかりの若手だから、簡単にできることではなかったと想像するが、福島大学全体の価値を大いに高めている。

他の大学の学者達は、なぜ黙っているのだろうか。個人個人で意見を表明するよりも、多くの学者が連名で声明や提言を出す方が、世間に知られやすく、効果が大きい。学問はもともと個人で行うものだから、集団で何かすることは不得手だろうとは思うが、今回のような学問の危機的な状況に対して、もっと多くの大学、多くの学者達が一緒になって声を出して欲しいものだ。
2011年6月7日


  1. 2011/06/07(火) 11:52:44|
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