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縮小の時代

風力発電と太陽光発電:変動の損失は燃料節約を相殺する

風力発電も太陽光発電も、天候や時刻により発電量が大きく変動するという問題がある。テレビの天気予報を見ると、日本全国が傘マークでうまっている時もある。こんな時はすべてを火力発電で供給しなければならないから、太陽光発電を導入しても、火力発電の能力はそのまま残さなければならない。

太陽光発電で発電している時は、火力発電所は能力いっぱいの発電(全負荷運転)は必要ないから、負荷率を下げて分部負荷で運転する。ところが火力発電所は、天然ガスや石油を使うガスタービンにせよ、石炭を使う蒸気タービンにせよ、熱機関だから、負荷率を下げると効率が落ちるのである。

せっかく太陽光発電(風力発電でも同じ)を導入して火力発電の燃料節約をはかっても、火力発電所の効率が下がってしまえば、燃料節約効果は減ってしまう。どのくらい減ってしまうのか、数値的に検討してみよう。中学生程度の簡単な数学を分かりやすく書いたから、我慢して読んで欲しい。

今、ある地域の電力需要が100万kWの火力発電所一つで供給されているとする。1日の総発電量は100万×24時間=2400万kWhである。これを1とする。これだけの発電に要した燃料をF(電力と同じエネルギーの単位で表す)とすると、Fは発電量1を発電所の効率をyで割った値、すなわち
F = 1/y である。
効率50% (y=0.5)なら発電量の2倍、25%(y=0.25)なら4倍の燃料が要る。

そこに太陽光発電が導入され、1日の電力需要のうちs ×100%だけ供給したとする(0≦s<1)。そうすると、火力発電所の発電量は1から(1-s)に下がる。負荷率が下がったので、発電効率もyからy1に下がる。そうすると、この発電に要した燃料をF1とすると、
F1=(1-s)/y1 である。

太陽光発電の導入によって節約された燃料はF-F1だから、
燃料節約量= F-F1 =(1/y) -(1-s)/y1 -----------(1)
これがプラスなら燃料節約になり、マイナスなら却って燃料消費が増える。

さて、熱機関の効率は、負荷が小さいと低く、負荷が増えると共に効率がよくなり、定格運転付近で最大になるのが普通である。負荷が0のアイドル運転では効率が0だから原点を通る。大体は上に凸の曲線だが、ほぼ直線に近いから、直線としよう。そうすると、例えば火力発電の定格出力100万kW、効率40%の場合、10万kWの太陽光発電導入で 火力発電の出力が10%下がって90万kWになると、効率も10%(率)下がって36%になる。

これを数式で書くと、負荷が1から1-sに下がると、効率もyから(1-s)yに下がる。すなわちy1 = (1-s)yだから、式(1)は、F-F1 = 0となってしまう。つまり、何も燃料の節約になっていないことになる。先ほどの例でゆけば、太陽光発電を導入する前100/0.4=250万kWhの燃料を使っていたところに、10万kWhの太陽光発電が加わって、火力発電は90万kWhに減ったが、効率が36%に下がったので、使った燃料は90/0.36 =250万kWhで、結局、何の得にもならなかったというわけである。

実際には効率曲線は上に凸の曲線だから、効率の低下は負荷率の低下より小さく、多少の燃料節約にはなるかも知れない。ただし、上の計算は、1日中一定の負荷率で定常運転した場合である。実際には1日の内でも負荷率の変動が激しいから、平均負荷率は同じでも、定常運転より更に効率が悪い。これを考慮すると、仮に燃料節約があっても、僅かに過ぎない。

負荷率の低下による効率低下の他に、太陽光発電の生産エネルギー、系統連系の電力損失などを加えれば、太陽光発電が本当に燃料節約になるかどうか大いに疑わしい。風力発電でも同じことである。
2011年6月3日


  1. 2011/06/04(土) 00:56:41|
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