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縮小の時代

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サービス産業による脱物質化の不自然

環境ビジネスによる経済成長が不可能であることは5月30日の記事に書いたが、サービス産業による経済成長もまた自然の流れに逆らおうとする幻想である。

地球環境問題の根源が物質とエネルギーの大量消費社会にあることは広く認識されている。今後の目指すべき方向が脱物質化であることは確かである。文字通りの脱物質である必要はないが、資源やエネルギーの消費を大幅に減らし、環境の持続可能性を回復しなければならない。

それは経済の縮小を伴う。そこで、経済成長志向から離れられない人達から、サービス産業を重点にして経済成長をはかるという考えが現われ、かなり一般的になっている。例えば、経産省のある委員会の報告書(注) にも“サービス産業が雇用創出と生産性向上を両立させ、我が国の持続的な経済成長を実現することができるようになると考えられる。”という記述がある。
(注:産業構造審議会 新成長政策部会・サービス政策部会サービス合同小委員会の中間報告(平成20年)「『攻めのサービス産業』に向けて生産性向上を『点』から『面』へ」)

しかし、サービス業には電気、ガス、運輸、販売のように大量の物質やエネルギーを使う業種を含む。これらのサービス業の生産高増大は、物質量の増加と直結している。

もし、物質の消費を全く増加させずサービス産業だけで経済成長ができるとしたら、その成長は、「財としての富」ではなく「カネとしての富」の増加である。「カネ」の増加だけなら技術も不要だから、シュンペーターの技術イノベーションも不要で、江戸時代でも、経済成長できる余地はいくらでもあった。みんなで互いに按摩をし合って、代金のやり取りをすればいいのである。しかし、なぜそうならなかったと言うと、そんなことをしても物質的な豊かさは無論のこと、精神的な豊かさにもならず、馬鹿げているからだろう。仮に実行しても、財の量が変わらず平均所得だけがどんどん増えるのだから、財の価格が上昇し、却って貧しくなる人が増えるだろう。

耐久消費財などは個人所有をやめ、レンタル業が盛んになれば物質が減ってサービス業が伸びる、という考えはどうか。これも、耐久消費財の生産高が減少する以上にレンタルサービス産業の生産高が増加することはなく、GDPは減少するだろう。なぜなら、レンタル料が自分で所有するより安くなければ、レンタル制に移行しないからである。

結局、サービス業を重点に今後も経済成長を続けるという考えは幻想に過ぎない。このうような幻想が生まれるのは、経済学では財とサービスを全く同じものとしているからである。

確かにサービスにも使用価値があり、したがって交換価値もある。しかし、財とサービスは同質の富ではないと考えるべきである。財の生産は生活に不可欠だが、サービスの生産は必ずしも必要ない。富の生産とは財の生産であり、サービス業は富の生産ではなく分配の役割をするものと理解できる。

大昔はサービス業がなく、生産力がある程度向上して初めてサービス業で生活する者が出現した。生産力が増大するに従い、財の生産の雇用が減るから、財の非生産者が財を得るためにはサービス業によって貨幣を獲得しなければならないのである。

近年、GDPも雇用者数も、サービス業の割合が増加しており、物質投入量(国内での資源投入量と製品の輸入量)は減少している。ここからはサービス産業の隆盛で脱物質化に進んでいるように見える。しかし、いずれも製造業が海外移転して雇用が減少したためと考えられる。エネルギー消費は減少していない。物質投入量の減少は見かけだけで、輸入品の生産のために国外で投入された物質は、国内の物質投入量として計上された量(製品として残った物質だけ)の何倍もあるだろう。
2011年6月1日


  1. 2011/06/01(水) 23:09:06|
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