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縮小の時代

脱経済成長は簡単にできる

地球環境問題、エネルギーと資源問題、原発問題、格差問題、失業問題等々、現在の社会問題はすべて経済成長至上主義から生じている。経済成長主義の背景には、地球上のすべての人を等しく豊かにするためには、絶えざる経済成長が欠かせないという思想がある。

経済成長が幸福の指標にならないことは既に広く認められている。にもかかわらず、相変らずGDPが一国の経済を測る最も便利な物指しだとされ、国と国の文明水準の比較に利用されている。マクロ経済学の理論も、それが幸福の指標にはならないと断りつつも、結局はGDP拡大のための理論に終始している。

そうすると、どの国の政府も、GDPを一層増加することを最大の政治目標に掲げることになる。その結果、GDPは便宜上の指標に留まらず、最も重要かつ優先すべき指標の位置に祭り上げられてしまう。

人一倍金儲けが好きな人間や、その才がある人間、或いは幸運にもその機会に恵まれている人間は、自分の金儲け、より率直に言えば、自分が人より多くの富を奪うことを正当化するために、GDP重視の思想を利用し、正直な多くの人達が、それに言いくるめられている。

不断の経済成長指向がもたらす数々の問題が広く認識されていながらも、なかなか社会が脱成長の方向に動かない一つの理由は、現在の社会が直面している種々な問題はすべて技術革新で解決できるだろうという技術信仰が行き渡っているからだろう。

技術への過剰な期待は、経済成長が止まることに恐れを抱く人達の最後の逃げ道かも知れない。しかし、地球環境問題も、エネルギーや資源の問題も、原発事故の問題も、技術で解決できる見込みは現在のところ全くない。むしろ、地球環境やエネルギー、資源問題は、技術に頼り過ぎればますます解決困難になる可能性が大きい。

技術ではなぜ問題が解決できないかに関連した記事をこのブログでも既に少し書いたが、今後も少し折に触れてずつ書いて行くつもりである。

同じGDPでも成長率が小さいと賃金が下がり、失業が増えて不景気になるのは、分配が悪いからとしか言いようがない。GDPが同じなら、誰かの所得が減少するのは誰かの所得が増大するからである。ところが、不景気は成長率が落ちたためだから消費を増やし、成長率を上げることが必要だと政財界、経済専門家、マスコミがこぞって宣伝し、人々もそれを信じて経済成長の回復を渇望する。現実に失業したり賃金を下げられたら困る、背に腹は代えられない、というのが人々の偽らざる気持ちなのだろう。

こうして、脱経済成長論は否定はしないが、現実には不可能だと言う人が多い。だが、脱経済成長を不可能にしているのは、物理的な抵抗ではなく、人々の胸の内にある、観念的な抵抗に過ぎない。不可能と思うから不可能なのであって、可能だと思えば可能である。自然法則に逆らって経済成長を続けようと無益な努力をすることより遥かに簡単かつ現実的である。

いったん脱経済成長を決心すれば、具体的な方法はいくらでも出てくるだろう。自由市場経済を廃止する必要はない。何もかも自由放任である現在の市場経済に、必要な制限を加えてゆくことによって、脱経済成長に近づくことはできると思う。
2011年5月29日


  1. 2011/05/29(日) 22:03:49|
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