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縮小の時代

トランプの移民制限を非難するだけでは何も変らない

トランプ大統領がイスラム7カ国からの入国を一時差し止めする大統領令を発したことが、世界中で非難や抗議の的になっている。移動の自由は基本的人権の一つであり、特定の民族の入国禁止は人種差別にも通ずるので、この大統領令は人道的に許せないと言ったところだろう。だが、そのような単純かつ感情的な反対は、もっと本質的な問題を見逃していないだろうか?

そもそも、トランプ大統領がこのような強硬手段に出た理由は、次の点にある:
①法律に違反する不法入国が多い;
②低賃金で働くため、多くのアメリカ市民が雇用を奪われ、賃金水準が下がり、苦しんでいる;
③イスラム系の入国者によるテロがしばしば発生する。

トランプ大統領にしてみれば、国政の責任者として、本来のアメリカ市民の生活と安全を守るためには、いずれも放置できず、何らかの処置をしなければならない問題である。英独仏や日本でも、同様な問題を抱えている。日本ではまだテロ行為は少ないが、その危険はいつでもある。トランプの試みは、ある意味では止むを得ないとも言える。逆に、この政策に抗議し、従来通りの移民政策を続ければ、何の問題解決にもならず、問題をますます大きくするだけではないだろうか。

法治国家である以上、善良な国民からすれば、不法入国は厳しく取り締まって欲しいのは当然である。また、イスラム圏で暴力的な抗争が続き、テロ行為が絶えず、外国にまでテロ行為を広げようとしているのは事実であり、これも国民に取っては大変危険かつ不安である。イスラム圏でテロを根治させることは大切だが、それには時間がかかる。当面はテロの自衛策を取って欲しいのも、多くの善良な国民の望むところではないだろうか。トランプ大統領のイスラム圏からの入国禁止も、一時的なもので、永久とは言っていない。一時的な処置の間に、より根本的な方法を考えるつもりなのだろう。

入国一時禁止も、国境の壁も、自国の内部での対応であって、外国に出かけて対応処置をしようとするのではない。この意味では、これまでの大統領のように、中東を直接空爆し、罪のない一般市民まで大量に殺戮してきたことに比べれば、はるかに平和的である。世界中でトランプの入国禁止令に反対している人達は、よりタチの悪いアメリカ軍の中東の空爆に対して、これまで同じように反対して来ただろうか? そうではなかった。日本のマスコミも、トランプの入国禁止に対する批判ほどの批判はせず、ほとんど沈黙を守って来たのではないだろうか? この点でも、入国禁止令に対する非難は、感情に傾き過ぎ、理性に欠け、問題の本質から避けているように思える。

移民の制限に最も反対するのは、実は企業家達ではないだろうか。移民も不法入国者も、非常に安い賃金で働いてくれる。不法入国者は後ろめたさがあるから、なおのこと低賃金に甘んじるだろう。人件費を切り詰め、利益を上げたい企業にとっては、それによって、従来のアメリカ市民がどんなに困ろうと知ったことではなく、有り難いのである。現在のマスコミは大企業や金持ち達に操られているから、そういう産業界の思惑が、人道派を装って、トランプ攻撃に走っているのではないだろうか?

更に、移民とはどういう人達だろうかを考えてみる必要もある。政治犯や、自国内の戦乱によって国外に脱出する以外に生きる道がない人達は、人道的な立場から、できるだけ受け入れてやらなければならないのは言うまでもない。だが、移民の全部がそんな人達だろうか? メキシコからアメリカに不法入国する人達の多くは、アメリカの方が賃金が10倍も高いからだとテレビが現地報告していた。西欧に流れ込んだ移民の多くも、自国より高い生活水準を求めてのことではないだろうか? 

メキシコの賃金がアメリカの一割しかなくても、物価もまたそのくらいだから、大半のメキシコ人は国内に留まっている。メキシコに限らず、国外脱出せず、自国内に留まって、必死の努力をしている人達も大ぜいいる筈だ。良い生活を求めて自分だけ逃げ出すより、祖国や同胞を愛し、社会の改善に努めたいという気持ちが強いからだろう。言葉はきついが、祖国を捨て、自分だけ楽をしたいために流れ込んでくる移民は、有り難い移民とは言えない。仮に移民先で成功しても、結局は利己主義が先に立つ人間だから、移民先の国民にとって、本当に良いかどうかは疑わしい。

このように、移民の問題には、ただ見かけの人道主義だけでは片付かない、大きな問題が潜んでいる。トランプの大統領令は、このことを改めて考えさせてくれる良い機会なのである。ただ反対し、今まで通りのやり方を続けるのは、問題を先送りするだけだろう。

私は、最善の移民政策として、外国人の賃金を自国民の賃金と同等またはそれ以上にし、それ以下であることを禁止したらどうかと思う。そうすれば、企業はよほど優秀でない限り、敢えて外国人を雇わないから、自国民の雇用が奪われることがなく、賃金水準が下がることもない。よほど能力がない限り外国人の就職が困難だから、不法入国も、安易な移民も減る。就業する外国人は自国民以上に優秀な人が多いから、自国の社会に貢献する。

もう一つ大切なことは、国外への脱出者が多い国に対しては、国内での幸福感を高めるような支援を行うことである。これは、欧米や先進国型の生活態様を目指すのではなく、現地の地理・歴史・文化に適った国づくりを手助けすることである。具体的にどうしたら良いかは、国によって違うからわからないが、少なくとも、そのような国造りの支援を目指すことが、その国に取って最も好ましいことは間違いない。そうすれば、国外へ逃げ出す人も自ずから減少するだろう。■
2017年2月10日
  1. 2017/02/10(金) 15:47:44|
  2. 政治・社会・経済
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