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COP21パリ合意書は期待できるか

パリで行われたCOP21(気候温暖化防止条約第21回締約国会議)への期待は、
・京都議定書で不十分だった温室効果ガス排出削減を実効あるものにすること;
・排出削減の目標を高くすること;
・途上国も含めて排出の削減を義務化すること。
であった。

しかし、12月12日に採択された合意書は、それとは大きく離れている。合意内容の主な内容は、今後の運営方法を除けば:
・2020年までに、気温上昇を工業文明開始以前より2℃以下に抑える。目標は1.5℃以下。
・締約国は国ごとに自主的な方策を提出。その方策は5年毎に点検、見直し。
・先進国は途上国に支援する。現行水準(年1000億ドル)を2025年まで目指す。
という程度で、極めて簡単である。

途上国も先進国もこれを歓迎している。その最大の理由は、温室効果ガスの排出削減を義務でなく自主的としたことだろう。つまり、義務化では合意できなかったからで、裏を返せば、先進国も途上国も、自分の出来る範囲以上はしたくないことを示している。自分でできる範囲とは、結局は経済優先で、経済成長の障害にならない程度しかしないということである。

京都議定書では先進国の排出削減が義務づけられ、米国は脱退してしまったが、どの先進国もほぼ目標は達成したことになっている。日本は1990年基準で6%削減に対し、実績は+1.4%になってしまったが、京都メカニズム(途上国支援などの恩典)を加えると、8.4%減と、目標を達成したことになっている。しかし、本当に目標達成したかどうかは大変疑わしい。第一に、その削減量はどのように算出したか、その算出方法が本当に信頼がおけるものかわからない。

第二に、現在は、製造業の多くが先進国から途上国に移転しており、先進国は途上国で生産された物を数多く輸入しているので、先進国は途上国に排出を転嫁していることになる。本来なら、自国で使う製品の生産や輸送の際に排出された分は、当然、自国の排出分に数えるべきである。

中国やインドなど途上国も含めた世界の総排出量を見ると、基準年の1990年に比べて2008年には39%増、2011年には50%増と、大きく増加している。この増加分のうち、どれだけが先進国への輸出品の生産で出た量かはわからないが、少ないとは言えないだろう。途上国も含めて排出量削減が義務化されると、輸出品生産の排出量の帰属が問題になり、こうしたごまかしがきかなくなる。ここにも義務化に反対する理由がありそうだ。

COP21で如何に高い目標を掲げても、経済の考え方を変えない限り達成不可能である。しかし現在は、どの国の政府にもその気持ちは全くなく、相変わらず経済成長本位である。これでは、実効ある排出削減は何時まで経ってもできないだろう。経済成長とCO2排出量の削減とは両立しない。現在の経済は化石燃料消費と不可分に結びついている。安くて豊富な化石燃料あってこその経済成長であり、技術の向上である。技術の改善によって経済成長率に比べて排出量の増加率が小さくなることはあるが、クズネッツ説が言うように、経済成長によって却って排出量が減少することはないだろう。

技術の普及は経済成長になり、技術による効率向上は必ずリバウンド効果を伴う。いずれもCO2の総排出量は増加する。技術は大量消費、大量生産によって普及するものであることを考えても、技術によるCO2削減が不可能なことがわかる。

先進国による途上国援助については、その具体的内容がパリ合意書に書かれているわけではないが、実際は効率向上、CO2除去、森林保護、温暖化への対応に関する技術や資金の援助になる。森林保護を除けば、みな途上国が先進国型の大量消費工業文明を見習うことを意味する。先進国の大企業にとっても、これは当分の間、金儲けの機会になる。

途上国支援では能力向上(Capacity Building)という言葉も良く使われる。これは、先進国には環境保全の能力が十分あり、その能力を途上国に伝えるという意味である。なんと尊大だろうか。環境を最も破壊しているのは先進国の浪費と経済成長主義であり、現在の先進国には環境保護の能力などまるでないのである。移転するのは相も変わらず経済成長のための技術であって、地球環境をますます悪くするだけだ。高価な技術で環境が良くなるということは、環境がカネで買えるということだが、実際は、カネは環境負担への請求書に過ぎない。どんな用途であれ、カネを使うことは、それだけ環境を悪くする。

温暖化防止も環境保護も、経済成長主義の観念と、経済成長がないと混乱するような現在の経済構造を変えて、成長しなくてもよい経済への大転換を図るしかない。■
2015年12月18日
  1. 2015/12/18(金) 21:52:15|
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