FC2ブログ

縮小の時代

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

ノーベル賞に思う

ノーベル賞関係のニュースが連日新聞やテレビを賑わせている。だが、それはただ、日本人がノーベル賞を受賞した、近年日本人受賞者が多い、という程度のことで、ラグビーの世界戦で日本チームが強豪外国に勝ったとか、オリンピックで日本がいくつ金メダルを取った、と同じように、幼稚な愛国心をくすぐったり、授賞式に出た受賞者の行動を追うなどのタレント的興味を満足させるだけの記事に過ぎない。

スーパーカミオンデや欧州のCERNのように、莫大な税金を使った巨大な施設で行われた研究がノーベル賞に値するとは思えない。巨大施設を使えば、ずば抜けた創造力や着想がなくても、いずれは新しいことが見つかるだろう。私は、高価な設備にも大組織にも頼らず、誰でも可能な外的条件の中で、個人の独創的な着想によって得られた大発見や大発明だけがノーベル賞に値すると思う。

ノーベルの遺志は、人類平和への貢献に対する授賞である。しかし、報道機関にも、最近のノーベル賞受賞者達にも、そんな崇高な理念や品格が全く感じられない。受賞者たちが考える社会貢献は、せいぜい、技術製品となって実用化され、経済成長に寄与することで、その技術が人類の平和やよりよい社会のためにどのように貢献するか、などは関心がないように見える。

先日、日本のノーベル賞受賞者5人(野依良治、利根川進、田中耕一、赤崎勇、天野浩の各氏)が安倍首相に、国際競争に有利にするために科学技術予算を増やす必要があるという提言書を渡したそうである(日経新聞12月9日)。ノーベル賞に値する真の科学者なら、そんなことより、科学が人類の平和と進歩にどのように関わっているかを考え直し、現在の科学技術が戦争や金儲けの手段になり下がっていること、技術が環境破壊を促進していること、技術開発競争は結局は経済競争であり、限られた地球資源の奪い合いから戦争に至る可能性が非常に大きい事、何もかも技術で解決しようとすることがより大きな問題であること、などに国民や政府の注意を促すことの方が余程重要である。

また、科学技術という自分の専門分野に捉われず、日本は格差の拡大、貧困世帯の増大、労働条件の悪化、教育予算の削減など、科学技術より優先すべき大きな問題が山積みしていることに思いを馳せ、その解消のための提言をするべきである。

ノーベル賞受賞者と言えば非常に知名度が高く、多くの人々が一目置き、発言を尊重する。その知名度を、ただの商業のための科学技術研究ではなく、人類の平和と平等を訴えるために利用する、これこそノーベル賞受賞者に負わされた役目ではないだろうか。昔は湯川さん、朝永さんをはじめ、そういう人達が多かった。最近のノーベル賞受賞者の中で、このような社会的発言をした人が幾人いただろうか。

現在は、科学も技術も人間から独立したもので、専門家が研究すべきものだ、という考えが支配し、ノーベル賞受賞者ですらそう思っているようだ。それがそもそもの間違いである。科学も技術も、それが人間や社会の質とどう関わるかを抜きにして語る事はできない。人間から切り離された科学も技術も、結局は人間に被害を与えずにおかないことを科学者、技術者は自覚しなければいけない。技術兵器による効率的殺戮も、環境破壊も、技術製品の普及による人間疎外や事故も、すべて技術が一人歩きしたために生じたことである。自分の専門分野だけに捉われ、自分の専門分野が発達すれはそれでよい、というのでは、尊敬に値する真の科学者でも真の技術者でもない。

最近のノーベル賞受賞者の中では、2008年にノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんは尊敬に値する。京都新聞が12月8、9日の二日にわたって書いているが、益川さんは、科学者は社会活動して一人前と言っている。原発や原子力潜水艦の日本入港、特定秘密法案や戦争法案にも積極的に反対を表明している。商業主義に流される研究は軍事研究に利用されやすいと、最近の科学や技術のあり方を危惧している。■
2015年12月11日
  1. 2015/12/11(金) 14:29:19|
  2. 科学と技術
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<COP21パリ合意書は期待できるか | ホーム | 「歩くまち」から「歩きたいまち」へ>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://shitou23.blog.fc2.com/tb.php/183-4e140c63
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

石田靖彦

Author:石田靖彦

フリーエリア

最新記事

----------

過去の記事一覧

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (15)
環境 (20)
エネルギー (29)
原発 (45)
伝統文化 (0)
科学と技術 (21)
政治 (12)
政治・社会・経済 (48)
文化 (3)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。