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LEDは環境負荷を増加させる

青色LEDの開発に貢献した日本人3人が今年(2014年)のノーベル物理学賞を受賞したことで、マスコミは受賞者とLEDへの礼賛一色であり、街でもLEDが盛んに使われるようになった。LEDの特徴は電力消費が少ない、すなわち環境負荷が小さいことである。例えば、白熱灯60W相当の明るさが、ボール型蛍光灯では13Wに対し、LEDは7.2W程度である。寿命もメーカーの広告によると白熱灯が2000時間、蛍光灯が6000時間に対し、LEDは40000時間だから、LEDは環境負荷が少ない。

確かに、この数値を見ると、LEDは環境に良いように見える。だが本当だろうか? 数値に嘘はないとしても、効率向上が総消費量の削減どころか、むしろ総消費量を増加させる最も大きな理由になっているのは、歴史が証明しているところである。自動車のエンジンも、テレビ・冷蔵庫その他の家電製品も、一昔前と比べると、どれも非常に効率が上昇している。しかし、自動車が消費する石油の量も、家庭の電力消費量も、減少どころか、却って増加し続けている。これは、これを最初に言い出したイギリスの経済学者ジェボンス(1835-1882)の名をとってジェボンス効果とも、ブーメラン効果とも、またはリバウンド効果とも呼ばれている。効率向上が総消費量を増加させる理由は:
①時間当り(又は距離当り)のエネルギー費が安くなり、長時間・長距離の使用をする;
②製品が安価になり、普及率が高まる;
③製品が大型化、高性能化、高機能化する;
などである。企業は、利益を減少させるようなことを絶対にしない。技術開発に力を入れるのは、それによって自己の製品を高級化して付加価値を高め、増々大量に売り、大量に使わせるためであって、それらはみなエネルギーや資源の総消費量を増加させる。

効率向上のリバウンド効果は、その製品だけでなく、社会全体に波及する。例えば、自動車エンジンの効率向上は自動車を大型化させただけでなく、自動車の普及と運転距離を増加させ、社会全体を自動車依存体制にした。それが自動車関連の様々な消費を促した。日常の買い物も自動車で遠いスーパーまで行き、一度に大量の食糧品を買うようになり、大きな冷蔵庫が必要となる。こうしてガソリンだけでなく電力消費も増やしているのである。

冷蔵庫もテレビも効率向上以上の大型化によって、電力消費は却って増えている。家庭で生鮮食料の貯えが増えると、生産や流通の過程でも冷凍・冷蔵が必要になり、電力需要を増やす。テレビの大型化はますます人々をテレビに引き付け、テレビ広告を通じて人々の消費意欲を掻き立てている。照明も同じである。電灯の効率が良くなると、より明るくするだけでなく、照明する場所も夜間の営業時間も増える。最近はLEDのお蔭で大きな建造物や並木や庭園や公園まで、夜間の電飾がやたらに増えた。多くの人が、それを見てきれいだと喜んでいる(ようにマスコミは伝えている)。LEDの豆球一つ一つの消費電力は僅かでも、何千何万もの豆球を使って新たに照明を始めれば、膨大な電力消費の追加になる。LEDで明るい場所が増え、電飾が美しいからいって夜間の外出が増えれば、ガソリンの消費も増え、店が賑わって電力消費も増える。エネルギー消費の促進効果は計り知れない。

効率向上がエネルギー消費を削減すると思うのは、技術を一つ一つ単独でしか考えないからである。どの技術も単独で存在しているのではない。社会の技術全体が経済の全体、したがって環境負担の全体に関わり合っているのである。ある一つの製品の効率向上が、社会全体の技術を変化させ、社会全体の技術水準が一つ一つの製品の効率を向上させる。それはまた生産性の向上にもなり、より多くの製品がより易く手に入り、社会全体の経済規模を大きくして、資源とエネルギーの消費を増加させる。科学や技術に携わる人間は、常にこのような視点でものを考える習慣をつけなければならない。

夜間照明をきれいだと喜ぶのは人間の身勝手で、生物にとっては決して良い事ではない。植物も鳥も地面の小さな生物たちも、夜は暗くなくては困るのである。生物はもともと昼は明るく、夜は暗いという環境に合わせて進化し、生きている。夜の照明は、植物や地中の生物や昆虫などは決して喜ばず、生態系に必ず悪い影響を与えている筈だ。夜が暗いのは大切なことであって、最小限の必要以上の照明は人間にとっても良い事ではない。あちこちで盛んになった電飾は、結局は金を集めるための商業主義が現れたものに過ぎない。電飾はやはりエネルギーの無駄遣いである。このように考えると、本来の自然に反するLEDの人工的な照明は、美しいどころか、却って醜くさえ感ずる。LEDの開発者も人類への貢献ではなく、社会の滅亡を促進しただけかも知れない。

LEDのリバウンド効果だけでなく、LEDの製品自身がどれだけ省電力になるかも疑ってかかる必要がある。一般に経費(初期費用+維持・使用の費用)とエネルギー消費に相関があるように、照明の経費も総エネルギー消費と無関係ではない。東芝製、白熱灯60W相当の電球の実勢価格の一例は、
・白熱灯:長寿命型LW100V54WLL-CV、54W、寿命2000時間、価格200円
・蛍光灯:電球型 ネオボールEFA13EL-E-U、13W、寿命6000時間、価格470円
・LED:一般電球型LDA7N、7.2W、寿命40000時間、2000円
である。電気料金を1kWh当り24円、1日6時間で10年間(21900時間)使うとすると、合計費用は
・白熱灯:電球10個分2000円+電気料28380円=30380円
・蛍光灯:電球3個分1410円+電気料6830=8240円
・LED:電球1個分2000円+電気料3780円=5780円
となり、確かにLEDが一番安い。

しかし、卓上灯も天井灯もLEDの照明器具は電球の取換えができず、照明器具とも交換が必要である。また、電球の寿命は40000時間となっているが、実際にそれだけもつかどうかは不明である。10年程度で交換した方がよいと説明しているものもある。私が寝台での読書用に購入した有名会社のLED卓上灯は、豆球72個を並べたものだったが、2年も経たないうちに半分がつかなくなってしまい、廃棄する羽目になった。合計時間は500時間にも満たない位である。それ以前に使っていた蛍光灯は10年以上も無交換でよかった。

このように、LEDは消費電力が少ないというだけでは、総エネルギー消費を減らすどころか、却って増やすことになりかねないし、その方がむしろ確実性が高い。その上、本来は暗くてしかるべき夜の不必要な照明を増やし、生物にも悪影響を与える。効率向上がエネルギー消費を削減させるという安易な考えは捨て去るべきである。むしろ、効率向上はエネルギー消費を増加させるのが事実である。したがって、エネルギー消費の削減は、効率向上では逆効果で、エネルギー価格を意図的に高めるか、あるいはエネルギー消費の総量規制を行うなどして、強制的に行うしかない。

効率向上は、厳しく上限が限られたエネルギー事情の中で初めてその社会的意味が生じるのだが、それでも、人間にとっての利便性が自然環境の持続可能性にとって悪影響を及ぼさないかどうかには、常に注意する必要がある。人間の利便のためなら技術はなるべく活用すべきだ、というのは、技術に囚われた一つの価値観に過ぎず、それが本当に人間にとって良い事かどうかとは別である。それよりも、これからは、便利の追求はほどほどにして、なるべく技術を使わない、という考え方の方が重要になるだろうと思う。

生物には夜が必要であり、夜は暗いからこそ夜なのだ。夜間の照明は安全のために余程必要でない限り、やめるべきである。今年は12月に入って各地で大雪が降っている。人間に最も必要なエネルギーは炊事と暖房である。現在の無駄なエネルギー消費は、将来の人々が炊事や暖房のエネルギーにも事欠く事態を招くことになる。■
2014年12月23日

  1. 2014/12/23(火) 13:10:16|
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