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縮小の時代

秘密保護法より秘密禁止法が必要

来週火曜日から開かれる秋の臨時国会で「特定秘密保護法案」が審議されることになっている。多くの国民を苦しめている身近で重要な問題が山積みしているこの時期に、安倍政権はなぜ急いで秘密保護法なのか理解に苦しむ。要するに、政府の意識は国民に代ることより国民を統治することにあり、国民のことなど何も考えていないということである。

総務省の電子政府窓口で公開している法案の概要を読んでみると、即座に次のような疑問を感ずる:

(1)我が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがあるとして特定秘密に指定する権限を持つのは行政機関の長だが、どんなことを特定秘密にするか、どんなことは特定秘密にしてはいけないか、ということが極めてあいまいである。つまり、行政機関の長が勝手に特定秘密の範囲を広げて、なんでも秘密にしてしまうことができる。

(2)指定された特定秘密に接する者は、秘密を扱うにふさわしいかどうかの適正評価を事前に受けなければならないが、その適性検査には、以下のような個人情報が多く含まれる。したがって、特定秘密を扱わせるという名目をつければ、行政機関、都道府県警察、契約業者の職員など、誰の個人情報でも調査することができる。思想調査も可能である。公務員は国民のためではなく、ますます政府のため、行政組織のために働くことを強制され、少しでも国民の方向を向こうとする職員は怪しい者として調査され、徹底的に排除されることになりかねない。    

(3) 秘密を漏洩した者は故意でも過失でも最大10年の懲役刑に処される。処罰されるのは、 ・特定秘密に関連する業務上で秘密を得た者;報道記者は国民に影響する秘密の内容をできるだけ詳しく聞き出そうと努力するのは極めて当前で、それなくして民主主義は成り立たないが、この法律によると、記者が真実を知ろうとあれこれ努力すれば、情報を得て記事にした場合は無論のこと、それが不成功の場合でも不法知得の未遂などで罰せられる可能性がある。国民の知る権利など全くどこかに吹き飛んでしまい、極めて恐ろしいことになる。

(4)国会まで非公開で、情報を漏らした議員が処罰されるとなると、議員が党に持ち帰って議員でない党員と一緒に検討することも不可能になる。

このように、安倍政権の標語である「日本を取り戻す」とは、戦後70年近く経った日本を再び戦前の暗黒政治に戻そうとすることである。

そもそも、政府や公務員が国民に秘密で何かを行う必要が本当にあるのだろうか。国家の秘密とは、外国に対する秘密である以前に、国民に対する秘密である。一般に、軍事や外交に関する情報は特に機密性が高いとされているようだが、改めて考えて見れば、軍事や外交のことでも、秘密にすることが本当に国益つまり国民の利益になるのか、はなはだ疑問である。例えば、外交交渉の中身が国民に知れたら何が困るのだろうか。実際はあまり困ることはないのではないだろうか。今まで、国民に秘密裡で外交をしたために本当に国益になった事どれだけあっただろうか。むしろ、秘密外交の中身はいつまでも国民に秘密のままにされ、結局は国民にとって悪い事にしかならなかったのではないだろうか。国民を無視し、結局はアメリカに従属するだけの現在の日本がそれを示している。外交を秘密にしないことは、相手国の国民にとってもその方が良いのではないだろうか。

軍事でも同じである。武力的による侵略を受けている最中ならいざ知らず、平和な時代にあって、軍事のすべてを公開しても、それによってどこかの国からの侵略が誘発されるとは思えない。むしろ、軍事力を秘密にするからこそ、他の国はそれ以上の武力増強に励むのである。結局、軍事の秘密化は平和を守るためでなく、相手を攻撃するためか、そうでなければ、軍需産業のために無駄な税金を使うことでしかない。これは憲法の理念にも反することになる。軍事力が政府の言うように平和のための備えなら(これは嘘で、本当に平和を願うのなら、武力はない方がよい)、軍事機密などない方がよいのではないか。

政府が国民に対して秘密を持つことは、結局は国民を裏切ることにしかならない。政府が物事を秘密にしたがるのは、決して国民のためではなく、国民の意図に反したことを行うためである。国政を国民に対して秘密にすることは、政府による犯罪行為ですらある。特定秘密保護法は、国民を処罰するための法律だが、むしろ逆に、こんなことは行政や軍事の秘密にしてはいけないという行政秘密禁止法を設け、秘密にすべきでないことを勝手に秘密にした行政の責任者を処罰する方が国民のためになる。

[注] 【特定秘密の提供】として誰がどのように秘密を取り扱うか書いてあるが、「ア」「イ」「ウ」に続く「エ」は理解困難な文章である:

「アからウまでによる場合のほか、行政機関の長は、特定秘密の提供を受ける者が当該特定秘密を各議院若しくは各議院の委員会若しくは参議院の調査会が行う審査若しくは調査で公開されないもの、刑事事件の捜査(刑事訴訟法第316条の27第1項の規定により提示する場合のほか、捜査機関以外の者に当該特定秘密を提供することがないと認められるものに限る。)その他公益上特に必要があると認められる業務若しくは手続において使用する場合であって、当該特定秘密を使用し、若しくは知る者の範囲を制限すること、当該業務若しくは手続以外に当該特定秘密が使用されないようにすることその他当該特定秘密を使用し、若しくは知る者がこれを保護するために必要なものとして政令で定める措置を講じ、かつ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき又は民事訴訟法第223条第6項若しくは情報公開・個人情報保護審査会設置法第9条第1項の規定により提示する場合に限り、特定秘密を提供することができるものとする。」

2013年10月12日


  1. 2013/10/11(金) 12:03:34|
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