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温暖化否定説は科学の過信:大気中のCO2濃度が400ppmを突破

大気中のCO2濃度観測で有名なハワイのマウナロア観測所の最新の観測結果が、ついに400ppmの大台を超えた。アメリカ航空宇宙局のHPによると、大気中のCO2濃度は過去にも何万年の周期で上がったり下がったりして来たが、少なくとも過去65万年以来、最高時でも300ppmを超えることがなかった。産業革命以前は長い間ほぼ280ppmを保っていたと推定されているが、20世紀後半になって急激に上昇を始め、ついに400ppmを超えてしまった。これは産業革命以前と比べると43%も高くなったことになる。http://climate.nasa.gov/evidence/

温室効果ガスの排出による地球温暖化が世界的な問題になり、1992年のリオデジャネイロの環境サミットで温暖化防止条約が成立してから既に20年以上経つが、CO2排出量は減るどころかますます増え続けている。化石燃料の消費削減に本格的に取り組もうとしている政府は世界のどこにもない。

最近は、人為的な温暖化は嘘だ、或いは、地球は温暖化していないという説がかなり強くなっている。特に、原発反対の立場を取る人々の間に温暖化否定論者が多いように思われる。確かに、「原発はCO2を出さない」が原発推進の大きな理由として利用されてきたことは否めない。しかし、「原発はCO2を出さない」がもともと嘘なのだし、温暖化の科学的真偽と原発の可否とは全く別の問題だから、原発推進派が人為的に排出したCO2による地球温暖化という現象を利用したからといって、その現象そのものを否定するのは筋違いである。また、化石燃料の消費削減は温暖化の問題だけではなく、すべての環境破壊の緩和に重要だから、温暖化の否定に躍起になったところで、化石燃料業者や経済成長主義者以外にとっては、何の益にもならない。

人為的温暖化を否定しているのは、地球環境に関心が深く、比較的科学的、かつ良心的に物事を考えようとする人達が多いように思われるが、それでも、温暖化は嘘だと切り捨てるところには、本人も気付いていない、科学への過信がないだろうか。

現在は長期的な温暖化の傾向にあること、CO2に温室効果のあること、大気中のCO2濃度が20世紀以来急激に上昇していること、この上昇が化石燃料消費の急激な増加の時代と重なっていること、などはすべて事実として認められている。もちろん、これだけで人為的なCO2の排出が温暖化の原因だと即座に判断することはできないが、否定もまたできない。

人為的温暖化を否定する主な根拠の一つは、CO2濃度と気温の年変化を示す第1図による。この図は、マウナロアのCO2観測値(第2図)から、年変化の部分を取り除いて長期的変化だけを示す(ギザギザのないなだらかな)曲線を造り、その平均気温からの変動分だけをCO2濃度としている。中央の点線が平均を示す(平均値は年々上昇しているが、この図では水平線として描いている)。気温についても同様に、平均値からの変動分だけを示している。この図によると、気温の山の後にCO2の山が来ている。つまり、CO2が増えた結果として気温が上がるのではなく、自然の原因で気温が上がった結果としてCO2濃度が増えたというのである。

第1図 (出典/根本順吉 著「超異常気象」(中公新書))
第1図 (出典/根本順吉 著「超異常気象」(中公新書))

第2図 マウナロアのCO2観測値変化(Wikipedhia「二酸化炭素」)
第2図 マウナロアのCO2観測値変化(Wikipedhia「二酸化炭素」)

しかし、気象学者の増田善信氏も指摘しているように、我々が問題にしているのは平均値からの変動ではなく、平均値そのものの長期的変化なのである。第1図のCO2と気温の変動の因果関係はわからないが、仮に気温の上昇がCO2の上昇を促したとしても、それは年変動の説明に過ぎず、CO2平均濃度の長期的な上昇より平均気温の長期上昇の方が先行しているとの説明にはならない。

地球の平均気温は地球物理の複雑な現象の総合結果であり、これには太陽活動、火山活動などの自然も影響する。IPCCも自然の影響を考慮しているが、それでも自然の影響だけで近年の平均気温上昇を説明しきれず、人為的な部分を入れたモデルによってようやく理解することができる、と言っているのである。IPCCに関わった3000人余りの学者や専門家が、すべて陰謀に加担したなどと考えるのは荒唐無稽である。

地球の平均気温にはもともと正のフィードバックが働くという不安定な要素がある。つまり、何らかの原因で少し平均気温が上がると地球表面の氷や雪が減って太陽光の反射率が減り、地球が吸収するエネルギーが増えてますます平均気温が上昇するという、雪だるま式の変化をする。また、何かの理由で平均気温が下がると、その逆が働いて、ますます平均気温が低下する。過去に氷河期が来たり去ったりしたのも、このような現象が働いているのであろう。人為的温暖化否定論者のいうように、仮に、人間が排出した温室効果ガスが平均気温に与える影響は微々たるものに過ぎなくても、その微々たる影響が正のフィードバックの引き金になれば、大きな気温変化を招いてしまう。その場合、結果的には、人間活動の結果がその大きな平均気温の変化を招いたことになる。人為的温暖化否定論者は、このような引き金効果が働かないことを、どのように断言できるのだろうか。

人為的温暖化否定論の最も大きな問題は、気温の変化や温暖化に、人間が排出したCO2が影響している可能性を全く認めず、100%自然の現象であると決めてかかっていることである。しかし、実際にはそんなことはあり得ず、原因には自然の要素も人為的な要素もあると考える方が順当だろう。人為的な要素は全くないという結論は、自然の現象をすべて、完璧に、もれなく理解し尽くしているという自信がなければできない。しかしこれは、原発の安全は科学的に確かめられる、低線量放射線の人体への影響はない、などと断言するのと同様な科学・技術への過信あるいは信仰に過ぎず、科学精神ではない。ニュートン力学という科学の勝利でついに宇宙のすべてが理解できたという思い上がりが、量子力学の発見であっけなく崩れ去ったことで、いかに科学が進んでも、人間の知識が及ばない部分が必ずあることを思い知らされた筈だが、人間は知らず知らずの間に科学・技術の信仰に陥ってしまうものらしい。

資源を使いつくし、地球環境を破壊することによって文明社会を破滅させるのは科学と技術への過信に他ならないが、その危機を逃れるために、一層科学・技術に頼ろうとしているのが現在の人間の愚かさと言える。

いずれにせよ、大気中のCO2濃度は上昇の一途をたどっている。しかも近年はシェールガス革命などと言われ、CO2以上に温室効果があり、しかも大気中のそのまま漏れ出す可能性も高いメタンガスの生産が増え続けている。我々には、非常に大きな危険が迫っている可能性が高いのである。
(参考:本ブログ「温暖化懐疑説と原発」2011年7月8日)。
2013年5月16日


  1. 2013/05/16(木) 20:45:51|
  2. 環境
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

 地球温暖化促進にCO2が関与(原因物質)しているということについては、賛反両論あり決着ついていないような気がしています。私は、このこと議論してもしょうがないという感しています。多分、都市化の進展を阻止し、鉱工業を縮小し、農林漁業を振興させるしかないと思うからです。エントロピー学会でも、槌田 敦さん、室田 武さん など、又 元エントロピー学会 会員の近藤 邦明さんなどは、懐疑論者です。エントロピー学会名古屋懇談会で、槌田さんを、お呼びし、話していただいたことあります。河宮さん、大沼さんなどは、CO2主因論者で、話がかみ合わなかつたことがあり、しかも感情的になり、まずいなと思いました。
 多分、理工科系技術者・研究者を除けば、くだらないと思われました。 只 私は、CO2をへらかすような対策とれば、環境破壊もなくなり、結果的に温暖化阻止できるsと思っています。
 喧嘩別れしてもよいから、一度 槌田さん、近藤さん、河宮さん、白鳥さんなど公開討論会開いていただきたいと思っています。学者・バカセは意見の異なる人と、議論すること嫌がるかもしれませんが。
  新しい技術開発に希望を託すのではなく、以下に記すこと、やつていくだけでも、温暖化防げると思っています。
  (1) マイカーシステムから鉄道を主体とする輸送システムに変換する。
       リニア鉄道など、エネルギー過消費で輸送力 大きくないので止める。

  (2)  都市計画をエネルギー消費の視点から考えなおす。高層ビルを建てることなど愚の骨頂とおもうからです。

  政治経済的に、こんなこと出来ないといわれれば、温暖化も環境破壊(地球が廃棄物で埋まる)も甘受するしかないと思われます。●●学会、○○研究会などで内輪話 繰り返しても、効果期待できないからです。

 
  1. 2013/05/18(土) 09:09:01 |
  2. URL |
  3. y k #-
  4. [ 編集 ]

コメントありがとうございました。
おっしゃる通りです。温暖化が人為的かどうかは、専門の研究者の話題にはなっても、環境保護の立場からは、あまり実りのある議論ではなさそうです。それに、人為的とは100%人為的を指すことを仮定した議論ではなおさらです。いずれにしても、エネルギー消費の大幅な削減が現代社会の緊急課題ですね。なお、研究会や学会での議論は、もちろん議論の内容にもよりますが、決して効果のない内輪話ではないと思います。前回の記事「意識を変える」でも、理論の大切さに触れました。
  1. 2013/05/18(土) 09:45:10 |
  2. URL |
  3. 石田 #-
  4. [ 編集 ]

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