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蓄電池に補助金は愚の上塗り

東京都は猪瀬都知事になって初めての予算で、太陽光発電の普及促進のため、蓄電池にも補助金を出す。国の補助金もあるので、150-200万円の蓄電池に対して国と都が合わせて半額を補助するという(東京新聞2月21日)。例えばP社の3.2kWh型蓄電池(約160万円)の場合、国と都あわせて80万円の補助金が出ることになる。

太陽光発電装置本体に対する補助はこれとは別で、東京都で住宅用として標準的な4kW(設備価格約200万円)の設備を設置する場合、国から12万円、東京都から40万円の計52万円の補助が出る。

両者(4kW太陽電池+3.2kWh蓄電池)を合わせると、設備価格360万円に対して132万円という巨額な補助金となる。財源はもちろん税金である。更に、発電した電気を家庭で使わず売電すると、電力会社は1kWh当り42円で買わなければならない。この分は一般電気料金に加算され、消費者が負担する。世の中は失業者で溢れ、職はあっても低賃金で困っている人が多いのに、高額な太陽光発電設備を買える金持ちに、このような巨額な補助金を出すのは、エコカーなどと称して高級車にも補助金を出すのと同じく、不公平極まりない。日本の政治はますます金持ちのための政治になっている。

そんな不公平にも増して、この補助金の「再生可能エネルギー普及のため」という名目も科学的に見て限りなく怪しい。化石燃料の消費量を却って増加させることになるだろう。

太陽光発電が、一般に信じられているような再生可能エネルギーでも自然エネルギーでもなく化石燃料依存の技術であること、却って化石燃料の消費を増加させる疑いが大きいことについては、本ブログでも何度か触れたのでここでは繰り返さないが、その上更に蓄電池を使えばなおさらである。上の例の蓄電池でも重さ約110kgで大量の資源が使われており、希少金属も多い。採掘、製錬、運搬、加工などに消費するエネルギーは膨大である。

しかも、容量3.2kWhでは、日本の家庭1世帯の平均電力消費約10kWhの半日分足らずしかないので、ちょっと雨天が続けばたちまち不足する。結局、これだけ膨大な資源と経費を費やしてもなお、火力発電依存から脱けられない。

太陽光発電の化石燃料収支については、関連する項目が非常に多いので詳細な検討は難しいが、技術論をやめて別の視点から見れば、つまり木だけでなく森全体を見渡しても、次の疑問が湧くのは当然だろう。

第一に、太陽電池パネル、付帯装置、蓄電池という大型重量級の設備を大量生産/大量使用することが環境負担の増加にならないと考える方がおかしい。現在の巨大な物量社会はすべて化石燃料がもたらしたもので、物量社会はまた化石燃料消費を増加させる。再生可能エネルギーでは物量社会は不可能である(本ブログ「再生可能エネルギー100%の社会」)。


第二に、カネの働きを忘れている。モノは生産/消費/後処理の過程だけで資源を消費するのではない。モノの価格に含まれる人件費や利潤は、それを得た人が何かを買うのに使う。そこで新たなモノの需要を生み、そのモノの生産には必ず新たに化石燃料が使われ、再び新たな利潤が生まれる。そうしてカネが次々と世の中を巡って行くことによって、常に新たな化石燃料消費と新たなカネを生み続ける。したがって、財やサービスが高価であればあるほど、その価格自体がそれ相応の化石燃料消費に結びつくのである。このことを考えれば、太陽光発電や蓄電池という「新たに追加される」大型耐久消費財の普及が、化石燃料の消費を増加させることはまず間違いないと見ていいだろう。

なお、昨今は価格も安くなっているが、それは中国など人件費や環境コストの安い国から輸入するからで、安くなった分だけ化石燃料消費が削減したのではなく、むしろ増加していると考える方がよい。

従来より多くの資源を使い、より経費のかかるモノを環境負担が軽減するなどといって普及促進を図るのは、無知による技術信仰か、名前だけの「再生可能エネルギー」「太陽エネルギー」につられてか、さもなければ新たな消費を促し、経済成長に貢献すると考えるからだろう。

太陽光発電装置に加えて、蓄電池の補助は、馬鹿げた政策の上塗りに他ならない。経済界や政府にも太陽光発電の推進者が少なくないのは、環境保護より消費拡大が本音だろう。本当に経済より環境保護を優先するのなら、再生可能エネルギーの拡大より、総エネルギー消費、特に電力消費の削減を真っ先に考える筈である。経済優先だから、それが本当に環境保護に貢献するか、化石燃料の消費を削減するか、などという疑問を発せず、むしろ、その疑問が出ても封殺することに努めているのである。
2013年2月22日


  1. 2013/02/22(金) 17:19:51|
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