縮小の時代

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江戸時代に戻る?

社会の縮小、あるいは脱物質やエネルギー消費の大幅削減と言うと、江戸時代に戻るのか、という質問をよく受ける。そのような質問には、大抵の場合、そんなことは不可能だという言葉が付け加わるか、あるいは、言葉には出さなくても、その気持ちがうかがえる。不可能とは、物理的にか、気持ちの上でか、社会倫理からか、どういう意味での不可能と言うのかはわからない場合が多いが、ともかく、江戸時代には戻れないという理由が、しばしば、社会の縮小化に対する疑問の根拠にされる。

江戸時代に戻るのかという質問に対しては、簡単に「そうだ」とも「そうではない」とも答えられない。一つの社会を特徴づける要素には様々あるから、戻らなければならない部分もあり、戻らなくてもよい部分もあり、戻らない方がよい部分もある、と答えるのが順当だろう。

戻らなければならない部分は、脱化石燃料社会という点である。主として再生可能な資源に依存し、持続的に再生可能な範囲で利用する。これは、長期的な社会を考えれば、物理的必然であって、そうしない限りいつか必ず資源が尽き、社会は崩壊する。シェールガス、シェールオイル、メタンハイドレートなど「豊富な新化石燃料」があるというのは単なる甘言で、いくら資源があってもエネルギー収率が悪く、環境汚染も大きく、所詮は非再生可能だから、やはりいずれは尽きる時が来る。再生不可能な化石燃料に全面的に依存している現代社会を急に脱化石燃料にすることは無理だが、何十年かかけて、しかし社会が崩壊の憂き目を見ないうちに、再生可能資源主体の社会に転換させなければならない。

再生可能エネルギー時代の基盤エネルギーは植物系である。植物系は火力エネルギー源であり、自立的(他のエネルギー源を使わなくても自身を再生産できる)だからである。電力は発電装置や電気製品の生産・リサイクルに多量な火力エネルギーを使い、電力だけで電力の再生産できないと言った点で、たとえ生産に必要としたエネルギー以上の電力エネルギーが得られたとしても、「基盤」エネルギーとは言い難い。したがって、太陽光発電や風力発電を最大限に利用しても、真に再生可能かつ持続可能な範囲で使えるエネルギーの量は(植物系エネルギーの量に制限されて)多くはない。日本で持続可能的に使える植物系エネルギーの総量は、農林業の進んだ知識で江戸時代よりは多いかも知れないが、逆に森が減少した分だけ少ない可能性もある。現在の人口は江戸時代の4倍もあるから、一人当りの利用可能な植物系エネルギー量は、江戸時代より確実に少ないだろう。金属などは再生利用できるが、それにはエネルギーを要するので、エネルギー面から利用できる量が限られる。

究極的に江戸時代まで戻らなければならないのは植物系エネルギーが基盤になるという点だけで、その他の点でどんな社会になるかは工夫次第であり、江戸時代とは全く異なるだろう。使える植物系エネルギーは限られていても、日常生活に必要な道具類の生産や照明・通信などの電力が完全に使えなくなるわけではない。それは技術次第だが、現在の技術は使えるエネルギー総量が有限という前提がないから、省エネ製品と言えども根本的にエネルギー多消費製品であり、将来の脱化石燃料社会には合わない。従来の延長上の技術観(高機能、高性能、複雑、巧妙が優れた技術)ではなく、新しい技術感による技術の波が必要である。これは実現が不確かなハイテクという意味ではなく、簡単に実現可能で、必要以上の機能を持たないローテクで十分だろう。 医療も現在は薬品と機械とエネルギーに依存し過ぎているが、その真の効果は疑問視されている。衛生と予防を重視した脱化石燃料型の医療・保険でも平均寿命が縮まることはないだろう。

究極の脱化石燃料依存社会になると、現在の社会に比べて、かなりの脱物質社会になることは否めない。しかし、物は少なくても、奪い合いでなく分合い・共有の世の中ならば、本当は大して必要でもない物に何もかも奪われ、人情が失われた現在より、人間らしい生活ができる。江戸時代の庶民がみな毎日苦しんで生活していたわけではなく、生活を楽しんだ人も多かったはずだ。楽しみの本はいくらでもあり、豊かな文化も生まれた。現代の科学知識を活用すれば、それ以上の、もっと多くの楽しみが発見できるだろう。

江戸時代に戻って欲しくないのは、士農工商の厳しい身分制度である。平等な基本的人権を守るという民主主義の理念は、使える物質やエネルギーの量とは関係がない。むしろ、物量が限られているからこそ、より完全な民主主義が必要になる。
2012年11月26日


  1. 2012/11/26(月) 16:43:13|
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