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縮小の時代

クリーンエネルギー技術という神話

福島原発の事故によって、これまで原子力発電の安全神話に騙されていたと目が覚めた人々は少なくなさそうだ。しかし、福島原発の問題点は認めても、万全な措置を講ずれば、この先何百年にもわたって完璧な管理を続けることが可能だという前提に立って、依然として原発の存続を支持する人達も多い。いまだに安全神話にとらわれているようだ(本ブログ5月12日の記事「原発の安全管理に必要な条件」を参照)。

環境にやさしいエネルギー技術といわれている技術にもまた「クリーン神話」があり、これは原子力発電の安全神話よりもっと騙されやすい。(「クリーン」には資源消費の減少も含む)

広く流布している主な神話を挙げてみると:
(1)一次エネルギーが再生可能ならクリーン(太陽光発電、風力発電、バイオエタノールなど);
(2)地球にそそぐ太陽エネルギーは膨大だからエネルギー源に困らない;
(3)水素は燃やしても水しか出さないからクリーン;
(4)水素は宇宙に最も豊富な原子で無限に存在するエネルギー源;
(5)燃料電池の理論的効率は非常に高いから燃料電池自動車はエネルギー効率に優れる;
(6)電気自動車は走る時に排気を出さないからクリーン;

クリーンエネルギーの神話があまりにも信じられているためか、環境的に不利な点が新聞やテレビで取り上げられることは、ほとんど皆無である。書物も非常に少ない(少しはある)。

これらの神話が真実でない(またはその可能性が非常に高い)具体的な理由は追って少しずつ書いて行きたいと思う。自然エネルギーという言葉自体がまやかしであることは本ブログ5月10日「自然エネルギーという欺瞞語」に書いた。

多くの「クリーンエネルギー技術」に疑問を感ずるきっかけは、まず直観である。物理学的、工学的に考えれば「本当か?」と疑わせる点が少なくない。特に、エネルギー保存の法則、およびエントロピー増大の法則から見て、これは詳しい検討が必要だと思われる場合が多い。

とりわけ
分散した物やエネルギーを集める場合;
より多くの部品を使う場合;
構造がより複雑になる場合;
より多くの希少材料を使う場合;
より多くのインフラを必要とする場合;
エネルギー変換の回数が増える場合;
などは、みなエントロピーを増大させ、エネルギー損失を伴う。

したがって、その技術の見かけの原理では化石燃料消費が減る筈であっても、実際の製品では却って化石燃料消費が増える可能性が高い。具体的にはデータで確かめるしかない。

しかし、例えば化石燃料消費やCO2排出がこれだけ減るといった公表データは、評価実験の方法や比較の対象によって大きく変わるので、試験が適切かどうかの吟味が必要である。また、最終製品の評価に表れない環境負荷もあるので、製品試験だけでは最終判断はできない。

科学的で正しい判断をするには、より多くのデータが必要である。
福島原発事故では、京大原子炉研究所の小出先生は、“必要なデータが公表されないために、本当はどうなっているか科学者としての的確な判断ができない”としばしば嘆いておられる。クリーンエネルギー技術についても同様で、企業秘密のためか必要なデータはなかなか手に入らない。

また、秘密でなくてもデータ的な検証が困難な場合もある。例えば生産エネルギーの正しい評価はほとんど不可能に近い。

このように、ほとんどのクリーンエネルギー技術は、理論的にクリーンさを疑わせる点がある一方、それにもかかわらず確かにクリーンであることを立証するデータもない。それゆえ、現時点では、実際はクリーンでない可能性の方が高いというのが科学的な判断ではないかと思う。

データでの実証は困難だが、価格が高いことは化石燃料を余計に食っている一つの証である、の説明が「試論:お金のかかる環境保護は本物か」にある。
http://vibration.jp/shrink/data/8-3.pdf
2011年5月16日

  1. 2011/05/16(月) 14:58:30|
  2. エネルギー
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