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縮小の時代

関西広域連合のわかりにくい声明、結局は脱原発より経済優先

関西広域連合は昨日、関電大飯原発の再稼働に関する声明を発表した。各社の新聞報道から見ると、その要旨は:

・最終的な判断は政府にまかせる。
・ただし、安全性に関する政府の現在の基準は暫定的なものだから、政府の安全判断も暫定的なものである。
・したがって、政府の安全判断は暫定的であることを前提として、大飯原発の再稼働は限定的なものとして適切な判断をするように強く求める。

である。なにやら分かりにくい内容ですっきりしない。政府が現在の暫定的な安全基準に基づいて大飯原発を安全と判断した場合、それが限定的であるとは、何を意味するのだろうか。「暫定的な安全基準であることを前提とした暫定的な安全判断に、関西広域連合は暫定的に従う」ということだろうか。だとすると、暫定的に従うとはどういうことだろうか。

関西広域連合(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、徳島県、鳥取県および大阪市、堺市の7府県2政令都市からなり、京都市、神戸市も加入の予定)は、なぜこのようなわかりにくい声明を出したのだろうか。

世論は脱原発に大きく傾いている。3月に行われた日本世論調査会による調査では、脱原発に賛成44%、どちらかと言えば賛成36%で、合計80%が脱原発に肯定的である(中国新聞3月18日)。大飯原発の再稼働についても、毎日新聞の全国世論調査では賛成31%に対して反対派その2倍以上の63%で、すでに多数派になっている(毎日新聞5月7日)。

脱原発が必要だという理由は、次の点に要約されるだろう:
・原発には絶対の安全はあり得ない;
・一度事故が起れば取り返しのつかないことになる;
・仮に稼働中に事故がなくても、放射性廃棄物や廃炉を完全に処理する方法がない。放射性廃棄物を永遠に安全管理して安全を保証することは不可能である。

したがって、脱原発とは原発を直ちに廃止すること、再稼働を決して認めてはならないことである。一時的にせよ、少しでも原発を認めることは、脱原発の論理に矛盾する。なぜなら、一時的な稼働期間中でも事故が起こる可能性は十分にあり、一度事故が起これば今度こそ取り返しのつかないことになる。それに、一度稼働したら処理不能な放射性廃棄物が増え続ける。

関西広域連合が、なにやらすっきりしない声明に至ったのは、結局は大飯原発の再稼働を容認するという、脱原発の論理に矛盾する方針を取り繕うための姑息な表現にしか見えない。

嘉田滋賀県知事、山田京都府知事、橋下大阪市長は、基本的には大飯原発再稼働に慎重な姿勢を取り続けて来た。中でも環境問題に対する認識の深い嘉田滋賀県知事は、本意としては原発の即廃止派だろうと想像する。それにもかかわらず、結局は大飯原発の再稼働を容認する声明に加わったのは、電力不足が経済に不利をもたらすという、人類の将来より現在の浪費経済を優先する論理に屈したからである。

全原発が停止中の現在こそ、脱原発を進める最大の機会である。現在のところ、電力が不足して困っているわけではない。これから夏を迎えて電力が15%不足するという経済界や再稼働容認派の主張も、単なる脅しでしかない。現在の電力浪費構造の下では、いくら需要予測しても意味がない。電力の供給力に合わせて消費を抑えればよいのである。15%くらいの節約は容易であろう。

関西広域連合に対して、「脱原発をめざす首長会議(*)」の決議は明確である。原発ゼロのエネルギー政策と大飯原発の再稼働反対を表明している(東京新聞5月15日)。
(*)静岡県湖西市の三上元市長らの呼びかけで4月に発足。全国35都道府県65自治体の首長・元首長72人が参加。参加自治体:
(北海道)札幌市、(秋田県)仙北市、大潟村、(岩手)宮古市、(山形)三川町、(福島)南相馬市、(栃木)栃木市、市貝町、(群馬)川場村、(茨城)城里町、北茨城市、小美玉市、東海村、かすみがうら市、(埼玉)越生町、長瀞町、蕨市、(東京)世田谷区、武蔵野市、狛江市、(千葉)長生村、酒々井町、一宮町、富里市、野田市、(神奈川)小田原市、真鶴町、(長野)木曽町、下条村、中川村、原村、阿智村、(静岡)下田市、湖西市、吉田町、(岐阜)瑞穂市、
(愛知)名古屋市、(三重)伊勢市、(滋賀)愛荘町、(京都)京丹後市、(奈良)生駒市、(兵庫)篠山市、養父市、宝塚市、福崎町、(鳥取)北栄町、(島根)知夫村、(愛媛)西予市、(徳島)石井町、上勝町、(高知)土佐町、四万十町、(福岡)香春町、福智町、(佐賀)小城市、(長崎)西海市、(大分)竹田市、(熊本)水俣市、山江村、(宮崎)椎葉村、(鹿児島)志布志市、日置市、伊仙町、徳之島町

関西広域連合という比較的大きな枠の中で意見を統一して声明を出そうと思ったら、どうしても各自治体の明確な意見が陰に隠れ、当たり障りのない意見にしかならない。嘉田知事には、こんな声明には同調せずに、目先の経済より生命の安全と持続可能な経済のために、滋賀県として脱原発、再稼働反対を明確に述べてもらいものだ。
2012年5月31日


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