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縮小の時代

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超小型車の認定制度と道路交通体系について

日産自動車の超小型電気自動車「CONCEPT」の発表や、ダイハツ工業が昨年のモーターショウに超小型電気自動車「PICO」を出品したことなどを受けて、これからは超小型自動車の需要が高まることを予想してか、国土交通省は新たに「超小型車」認定基準を設ける方針である。報道各社の報道によると、国交省は超小型車を主に高齢者の近距離移動手段と位置付け、排気量は125cc程度、走行距離は1日10km程度を想定している。

公共交通機関の不備、商店の郊外移転によって、自家用車が不可欠にされている現在、増加する高齢者に使い易い移動手段の需要が高まることは確かだろう。

超小型車の導入自体は歓迎すべきことである。しかし、超小型車をこのように高齢者向けの「自動車の新たな市場分野の追加」としてしか見ないことには、大きな問題と実施上の困難を伴う。現在のような高速・大型の普通自動車(ここでは現在の小型乗用車も含める)中心の道路に低速の超小型自動車が入り込めば、普通自動車を運転する側からは邪魔者扱いされるだろう。さりとて自転車と同じように歩道を走ることもできない。歩道や自転車の通行帯さえお粗末な現状に、新たに超小型車の通行帯を設けることは、今の行政ではほとんど不可能だろう。

人間の20倍も重い固い物体が人間の何倍もの高速で、人間と同じ道路を通行すれば、事故が起こるのは必然で、どんな技術でも十分に防ぐことはできない。しかもどんな人間がどんな状態で運転しているか知れたものではない。

自動車の超小型・低速化は、単に高齢者向けに限らず、すべての自動車にとって、安全以外に環境、資源・エネルギー、平等などあらゆる観点から見ても今後の必然の動向である。逆に、現在のような高速かつ大型の自動車社会を続けようとする限り、自動車社会の持続は不可能で、自動車事故の大量の犠牲者もなくならない。したがって、超小型車は、単なる新しい自動車区分の追加ではなく、自動車および道路行政を全体的に見て、道路交通を再編する積りで導入を図る必要がある。

図体の小型化以上に重要なことは低速化である。資源、エネルギー、安全の面では、速度が増すにつれて急激に不利になる。速度を増せば安全確保や快適さのために大型化するので、低速化すれば車体も小さくなる。しかし、いくら低速化しても、昔の大八車のように、大きな荷物を運ぶにはそれに応じた大きな車体が必要になる。引っ越し荷物や商店への商品配達など、ある程度の大きさの車両は縮小社会でも必要だろう。したがって、通行帯を考える場合は、図体よりも速度の面から区分する考え方も必要である。

道路交通に関する筆者の考えを簡単にまとめれば次のようになる:

(1)超低速車は設計最高速度30km/h程度以下。加えて幅1m、全長2.5m以下程度の自動車を超小型低速車と区分してもよい。

(2)車道(歩道、自転車《軽車両》)通行帯と完全に分離された自動車専用の通行帯)がない道路には超低速車以外の自動車の進入を禁止する(消防車、救急車など緊急の公用車両は除く)。緊急車両以外の、この道路における超低速車の制限速度は時速6km/h以下(すなわち歩行者と同程度)。

(3)車道のない道路で自転車(軽車両)通行帯が分離されている場合は、超低速車は自転車(軽車両)通行帯を走る。この場合、超低速車の最高速度は時速20km/h程度以下(すなわち自転車と同程度)。

(4)道路構造の面からは、自動車専用道路以外の道路(市街地、郊外、都市間の道路も同じ)においては、できるだけ歩道と自転車(軽車両)を分離する。自転車(軽車両)通行帯は超小型車の普及を考慮して広めに設ける。

(5)車道の設置は、歩道と自転車(軽車両)通行帯を区分してなお余裕がある場合に限る。

(6)車道がある場合は、超低速車は車道を走る。車道の交通規則も超低速車を優先する。

(7)図体の大きさによる区分に関しては、現在に準じて、道路によって一定以上の大型の車両を通行制限する。

(8)自動車の用途は近距離用(100km以内)と位置付ける(超低速車で長距離旅行することはもちろん可能)。

(9)長距離の高速移動は鉄道を中心に位置付ける(ただし鉄道も速ければ速いほどよいというわけではない。大都市間高速鉄道より地域に便利な鉄道が望まれる)。

(10)鉄道のない都市間交通で自動車に頼らざるを得ない場合、道路に車道がなければ超低速車しか使えない。これでも自転車並みの速度だから、現在より多少の時間はかかって実用的には大して困らないだろう。

(11)高速自動車道路や一般道路車道の設置は、鉄道が引けない地域に鉄道の代りとして位置付けるのがよい。

参考
(*)本ブログ2011年5月28日、2011年10月22日、2012年4月24日、書籍「縮小社会への道」、小論「縮小社会の自動車」http://vibration.jp/shrink/data/right11.pdf
2012年5月29日


  1. 2012/05/29(火) 13:19:35|
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