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縮小の時代

原発を願う地元―他地域の被災の責任は?

管首相の要請による浜岡原発の停止に際して、原発立地の自治体市長等から成る「全国原子力発電所所在市町村協議会」が経産省に要望書を出しているが、かなり身勝手な感じがする。毎日新聞記事によると、要望書の要点は:

(1) 浜岡原発停止で、立地地域の雇用・経済に支障がないよう交付金措置を講じる;
(2) 原発事故補償では被災地の意向を尊重する;
(3) 被災自治体と、避難者の受け入れ自治体に対し、特別な財政支援を行う;
など4項目となっている。
提出後の記者会見で、会長の敦賀市長は「地元は国策として原発立地に協力したが、浜岡原発の停止は何の相談もなく決定された。国は説明責任を果たすべきだ」と指摘した。
記事本文はここ

これを見ると、彼らは基本的には原発の停止には反対の姿勢がうかがえる。その主な理由は、莫大な交付金(2011年度の御前崎市は71億円余りで一般会計の42%)を失うことである。

しかし、事故が起これば、交付金など受けていない隣接地域、更にはより遠い地域までも大被害を被り、場合によっては土地を捨てて避難も余儀なくされる。チェルノブイリでは、300km以上離れた地域でさえ強制避難させられ、今だに無人地帯になっているのである。

いわば不労所得の交付金を目当てに原発を誘致し、潤って来た自治体は、大事故が起こった場合、他の地域に及んだ被害の責任をどう考えるだろうか。彼らが好んで原発を誘致しなければ、他の地域も被害を受けなくてすむのである。

だが、要望(2)(3)に言う被災地とは当地だけを指すように見え、他の地域まで考慮しているとは思えない。交付金を貰った自治体は、原発の直接の受益者として、他地域が受けた被害に対して一定の賠償責任があるのではないだろうか。

公正に考えるなら、原発の立地地域とは、事故の被災を受ける全地域 ― 少なくとも半径数百kmに及ぶ広範 ― を含めるべきである。誘致の賛否はその地域全体の同意を要し、交付金もその全地域に出さなければならない。

そうすると、原発の建設は非常に困難になる。つまり、公正を考えると原発はもともと建設困難なのである。現在は、立地の当地を狭い範囲に限ることによって民主的な手続きが省略されている。当地の人も、交付金を得るために他地域の安全まで犠牲にしていることに気付いて欲しい。
2011年5月15日

  1. 2011/05/15(日) 12:53:20|
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