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縮小の時代

都知事選、四つの憤り

都知事選は政治の流れを変える大きな契機になる筈だったが、自民党舛添氏(無所属だが実質的には自民党と変らない)の圧勝に終ってしまった。投票率が46.16%、うち舛添氏の得票率は43.4%だから、有権者数に対する舛添氏の支持率は僅か20.0%、5人に1人に過ぎないが、これでも「大多数の都民の支持」と同じことにされ、舛添氏や自民党は好き放題が出来る。選挙中には都政と国政とは関係が無いという議論も出たが、東京で反自民の都知事が生まれれば、知事が国政に口を出すことではなく、国民が反自民を支持していることで、国政にも非常に大きな影響を及ぼすことができる。しかし、舛添氏が勝ったことで、安倍政権はますます逆方向に加速してゆくだろう。今回の選挙は、四つの点で非常に憤りを感ずる。

第一の憤り 舛添や田母神に投票した選挙民の愚かさ
先回の総選挙での国民も同じだったが、今回も舛添氏や田母神氏に投票した都民の愚かさである。人類の歴史の大きな流れに無関心で、経済成長の時代は既に行き過ぎており、今後は経済の縮小しかあり得ないにも関わらず、経済成長とは何かを考えることもせず、目先の事しか見ないで破綻が必然の空虚なアベノミクスにしがみつこうとする。先がない経済成長や大量消費の継続を夢見て、長年にわたってすべての子孫や生物の生存権に大打撃を与える原子力発電所の再稼働が倫理に反することを考えようともしない。いや、目先を見ても、アベノミクスがもはや通用しないことはすぐわかる筈である。経済成長政策を取れは取るほど資源は困窮し、借金は増え、格差は広がり、苦しむ人が増えて行くことが明らかなのに、どうして自民党や経済界の甘ごとに簡単に誤魔化されるのだろうか。自分で自分の首を絞めていることに気が付かないのだろうか。

それだけではない。軍国主義者の田母神なる男もかなりの票を獲得している。東京新聞によると、出口調査では、20代の若者の支持率は、一位舛添氏の34.7%に次いで田母神氏は二位の20%となり、宇都宮氏の16.5%、細川氏の9.9%を超えていたと言う。世の中に行きづまりの感が生じると、軍国主義は勇ましく、かつ格好よく見えるかも知れないが、これは軽薄な漫画やマスコミ文化に踊らされているだけで、軍国主義や戦争がどんなものかに関する思考力や想像力の欠如に他ならない。安倍首相も軍拡や戦争の準備には熱心である。彼らは中国や韓国朝鮮を挑発するようなことを好んで行い、先方がそれに乗って反日感や軍備増強を強めると、待ってましたとばかり自国の軍備拡大にいそしむ。そんな策略にも、善良な国民は簡単に乗せられてしまうのである。いざ戦争になれば、命を捨てなければならないのは軍国主義者自らではなく、一般国民であり、若者である。軍拡に熱心な人達は、戦争になったら真っ先に自分の子供、孫を前線に送り出すことができるのだろうか。彼等のすることはずるく、安全な場所で国民を煽ることでしかない。国民よ、若者よ、目を開け。そんなことに騙されてはいけない。

安倍政権は民主主義、平和、平等といった方向とは逆向きの政策を続々と出してきている。こんな安倍自民党にいくら怒りをぶつけても仕方がない。彼らはもともとそういう人物だから、いくら怒ったところで変る筈がない。憤りの先は、こんな人物を選挙で選ぶ国民の愚かさ加減である。

第二の憤り 投票率の低さ
投票率がもっと高かったら、結果はかなり違っていた可能性がある。マスコミが早くから舛添氏の絶対的優勢を報道していたから、投票に行っても効果ないと諦めた人が多かったに違いない。都知事選に限らず、最近の選挙はどれも著しく投票率が低い。自分一人が頑張っても政治は変えられないと思い込んでいるからである。日本人には特にその傾向が強い。かなり前の事になるが、環境問題に関する世界各国の人々のアンケート調査で、外国では自分一人でも行動するという人が多数を占め、日本では自分一人ではどうにもならないから何もしない、と答えた人が非常に多かった、という報告を見たことがある。同様なアンケート結果はいくつもあった。選挙の一票は小さいが、自分の一票だけでなく全て人の一票が皆同じように小さい。しかし、その小さな一票の積み重ねが選挙の結果になって政治を動かすのである。最初から自分の影響が小さいなどと言っていたら、選挙など無意味だし、民主主義にならない。

投票率の低さは国民のしらけや諦めによると言われるが、これは国民をしらけさせたり諦めさせたりした外部要因に責任を押し付けているに過ぎない。そんなしらけや諦めのもとを作りだしたものは選挙を棄権した人達なのである。先がない経済成長や大量消費の継続を夢見て、長年にわたってすべての子孫や生物の生存権に大打撃を与える原子力発電所の再稼働が倫理に反することを考えようともしない。もし毎回の投票率が高く、その結果あまり良くない政権が出来たとすれば、国民はしらけたり諦めたりする前に次の投票で別の人間に投票するだろう。政治への無関心は子供や孫への無責任でもある。

国民は投票が義務である。義務違反は罰金を取るか(高齢者や病人は罰金を免除する)、さもなければ投票率が一定以下、例えば80%以下だったら選挙は無効でやり直しという法律を作ったらどうだろうか。最初のうちは面倒で金もかかるが、投票に行くまで選挙は終らないということが常識になれば、大部分の人は次からは一回目の投票に行き、やりなおし投票が必要なことはほとんどなくなると思う。

第三の憤り 社共による足の引っ張り
今回は反原発の有力候補者が二つに分かれて足を引っ張り合った。宇都宮氏は、もし当選すれば都政を良い方向に大きく変えるかも知れないが、残念ながら最初から当選の見通しはほとんどなかった。それなら、今回は立候補をやめて細川氏と反原発で協力すべきだった。せっかく政治を脱原発に踏み切らせる大きな機会だったにかかわらず、結局は自らその機会をつぶしてしまったのが宇都宮氏と共産・社民である。それでも彼らは98万票(得票率20.2%)も獲得した、次回の選挙に繋がったと思っているのだろうか。もしそうだとしたら、それは自己満足以外の何ものでもない。今回の選挙で最も大切なことが脱原発の方向に政治を変えることだったとしたら、彼らは大切な機会をただの自己満足のために利用したに過ぎない。

宇都宮氏が細川氏と協力しなかったのは、脱原発以外での政策や理念が大きく異なっていたからだろう。しかし、もし宇都宮氏が降りて細川氏に協力し、細川氏が当選すれば、宇都宮氏の都政への発言力も強くなる。別々に立候補して落選するより、はるかに都政を動かす力になったに違いない。二人が共闘すれば舛添氏とかなり接戦になり、投票率も上がり、細川氏当選の可能性もかなりあった筈である。脱原発の方向に都政が動き出せば、宇都宮氏のさまざまな政治理念も生かし易くなっただろう。それなのに、結局は我を張って何もかもダメにした。

戦後の長い自民天下を支えてきたのは、まさに社共だった。社共はほとんど共闘せず、常に独自の候補者を立て、自民党への批判票を分断し、その結果自民党の独占を許して来た。結局は国民のことはそっちのけで、自分の党のことしか考えないのである。今だにそれと同じことを繰り返している。せっかくの機会をダメにした宇都宮氏、社民、共産には、従来以上に強い憤りを感ずる。本当に国民のための政治を考えるのなら、まず、自分が当選することより、最も政治を変える確率が高い方法を選ぶのが本当の政治家ではないだろうか。

第四の憤り 公平を欠いたマスコミ
今回のマスコミの報道姿勢はひどいものだった。十数人の立候補者がいたにも関わらず、舛添氏、細川氏、宇都宮氏、田母神氏の4人のことしか報道していない。これはマスコミの義務にも倫理に反することである。たとえ有力候補者とそうでない人とがあったにせよ、立候補した以上は、すべての候補者を平等に扱うのがマスコミの義務である。決して特定の候補者に偏ってはならない。テレビに登場させる時間も、発言の機会も、候補者の紹介も、すべて完全に平等にするべきである。

候補者を差別することは、民主主義を否定することである。現在の選挙は候補者の政治理念や政策よりも、単なる知名度や人気だけで決まってしまうことが多い。多額の費用もかかる。これでは、本当に当選して欲しい人が立候補も当選もできないのは当たり前である。今回の候補者の中にも、政見放送を聞くと、マスコミが無視していた候補者の中にも非常に良い事をはっきり言っている人がいた。マスコミの本来の役割は、知名度や人気でなく、それぞれの候補者の思いをできるだけ平等に伝えることである。特に、知名度も金もないが本当に良い政治を志して立候補した候補者にとっては、マスコミが平等に扱ってくれることが最も大きな頼りである。しかしその役割をマスコミは完全に放棄している。これでは、本当の民主主義的な選挙はいつまでも行われず、したがって日本はいつまでも本当の民主主義にはなれない。
2014年2月11日


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  1. 2014/02/11(火) 11:59:50|
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