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縮小の時代

エネルギー構成だけの論議は無意味

昨日開かれた経産省の「総合資源エネルギー調査会基本問題委員会」では、今後の電力エネルギー源構成、特に原子力発電の割合が議論され、2030年の電力エネルギー源について、原発の割合を0%、20%、25%、35%とする4つの選択肢、および原発の目標を示さない案にまとめられた。

3月28日朝日新聞朝刊によると、25人の委員の考え方は、次の3つに大きく分けられたという。
・原発をはやくゼロにする(0-5%)
・原発依存の度合いを下げるが、ある程度は使う(20%)
・今後も原発を主なエネルギーとして使う(25-35%)
また、東京新聞(3月28日Web版)は0%を主張した委員は6人、20以上を主張した委員は9人、数字を示さないが3人、残りの7人は意見を表明しなかったと報道している。

朝日新聞には、原発割合が現状(平成10年度)、0%、5%、20%、25%、35%、および大震災前の政府目標であった45%の、6つの場合の電力エネルギー構成が棒グラフで表されているが、0%、20%の場合について、そのグラフを物指しで測って大体の数字を読み取ると、

原状(これは記事に数字が出ていた):原発26%、再生エネ11%、火力57%、自家発6%
原発0%の場合:再生エネ35%、火力50%、自家発15%
原発20%の場合:再生エネ27%、火力38%、自家発15%
原発35%の場合:再生エネ20%、火力30%、自家発15%
となっている。

だが、新聞報道を見ても、総需要の目標が議論されたとはどこにも書いてない。恐らくは、電力総需要は現状、あるいは今後の経済成長を考慮して多少増加することが前提とされているのではないかと思われる。しかし、電力総需要の議論なしにエネルギー源構成だけを議論しても全く無意味である。問題の本質は環境、資源、放射能などを考えて、合計として火力と原子力をどれだけにするのか、再生可能エネルギーはどれだけ可能なのか、ということであって、エネルギー源の構成割合は副次的な問題に過ぎないからである。

(1)例えば原発だけを全廃して他を現状のままとすれば、総発電量は現在の74%に下がり、うち再生エネ15%、火力77%、自家発8%になる。数字の上では火力の割合が非常に増えるので、温暖化を促進するように見えるが、温室効果ガスの排出は現在と同じである。

(2)原発全廃の上、更に総発電量を現在の半分にし、再生エネと自家発を現状のままとすれば、エネルギー源の構成割合は再生エネ22%、火力66%、自家発12%となる。

(3)委員会の原発35%、再生エネ20%という案において、総発電量が現在と同じなら、再生エネ電力の絶対量は20(現在を100として)である。(1)において、それだけの再生エネ電力が可能ならば、エネルギー源構成は原発0%、再生エネ27%、火力65%、自家発8%となる。火力発電の絶対量は現在の84%に減少する。

(4)において、総発電量を現在の半分にすれば、エネルギー源構成は再生エネ40%、火力48%、自家発12%である。火力発電は現在の42%に減少する。

現在の再生可能エネルギーは大部分が水力発電である(現状11%のうち8%は水力)。水力発電のこれ以上の増加余地はあまりない。太陽光発電や風力発電は化石燃料の節約効果が疑わしく、物量の増加に繋がるので、現時点で促進を図るのは拙速に過ぎると思われ、地熱発電やゴミ発電、バイオ発電も総量としてはあまり多くない。委員会の原発35%案は、水力が現状のままとすれば、水力以外の再生エネが現在の3(現在の総発電量を100として)から12へ、4倍に伸びることになる。化石燃料節約効果はともかくとしても、利用可能な資源の賦存量から見て、多くてもこの程度だろう。

電力は非常に使い安く用途が広い高級なエネルギーだが、それだけに環境負担が大きい。現在はあまりにも電力に頼り過ぎ、無駄な電力消費が多すぎる。現在最も必要なことは、まず電力の総需要を下げることである。もちろん、原発は全廃すべきだが他のエネルギー源の構成を考えるのはそれからでよい。需要が先で需要を満たすための供給を問題にする時代は過ぎた。まず供給の限度があり、その限度内で如何に質の良い暮らしをするかがこれからの最も重要な課題なのである。
2012年3月28日

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  1. 2012/03/28(水) 11:33:54|
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