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縮小の時代

日本の再生 元気の出る日本

新年を迎えて日本の再生、あるいは元気の出る日本という言葉を頻繁に見聞きするが、再生とは何を再生することだろうか。元気がよいとはどんな状態を言うのだろうか。

野田首相は先月の閣議で決定した12年度予算案を「日本再生元年予算」と名付け、「福島の再生なくして日本の再生なし」と述べた。大震災や原発事故の痛手から早く回復したいのは誰にでもわかることだが、ここでいう再生とはそれだけではなく、もっと大きな意味の再生、すなわち震災以前から叫ばれていた経済の再生を意味している。予算案の是非はともあれ、経済の再生は野田首相のみならず全国民の共通の願いであるかのように報道されている。「元気のよい日本」も同じで、元気とはすなわち経済が活発であることに他ならない。

望まれている経済の再生とは、高い経済成長率を回復することである。バブル崩壊以後の日本は不景気の時代とされているが、それでも1991年から2010年までの20年間の平均成長率は0.9%であり、経済規模は拡大を続けている。成長率がマイナスになったのは20年間のうち93年(-0.5%)、98年(-1.5%)、01年(-0.4%)、08年(-3.7%)、09年(-2.1%)の5回だけで、08年と09年はアメリカのリーマンショックの影響と思われ、2010年には3.1%に戻っている。しかし、このように平均成長率がプラスでもなお満足せず、日本は元気がないと言うのなら、一体、経済成長率がどれだけあれば満足するのだろうか。日本の高度成長期(1954年-1973年)の平均9.1%や、現在の中国ほどの高成長は無理としても、バブル時代(1974年-1990年)の平均成長率4.2%ほどは回復したいというのだろうか。

だが、バブル時代の経済成長によって日本は質的に進歩したのだろうか。実際は逆に後退したのではないだろうか。国鉄や郵便の私営化、あるいは規制緩和が実施され、競争が激化し、労働条件が過酷になり、失業が増えたのもその頃からである。

今の日本に元気がないとしたら、それは経済の沈滞のせいではなく、格差拡大を放置して競争を煽るだけの世の中に、若者を始めとして人々が将来の望みを持てなくなっているからである。自由貿易の促進や更なる規制緩和、あるいは新技術・新製品の開発を推進しても、地球の資源の限りが見えてきた現在、これ以上の経済成長は無理だろう。また、既に溢れるほどの耐久消費財に囲まれた生活を送っている現在の日本は、高度成長期のように次々と高価な新製品を欲しがる時代ではない。

誰が決めたか知らないが、元気=経済活発という図式は捨てた方がよい。仮にそれが現在通用するとしたら、それはシャッター街になった地方経済の回復、あるいは派遣労働などの厳しい条件でしか働けない人々をなくすことである。しかし、これは日本全体の経済をこれ以上大きくすることによって解決できるものではない。現在の日本全体の経済成長は、中国を始めとする急成長中の途上国への輸出、海外進出、大企業化に依存しようとしており、これは地方経済をますます疲弊させる。したがって、地方が元気を取り戻すためには、経済成長よりも大都市中心、大企業中心の政策ではなく、産業を分散させ、自由貿易を制限して地方の産業を保護し、雇用の格差を縮めることである。

生活に特に不足のない現在、これ以上の経済成長とは資源の浪費に過ぎない。これは、見かけは経済成長でも富の増加ではなく、実際は自然の資源の減少、富の源泉の減少、実質的には富の減少である。元気が良いとが資源を浪費することだとは、文明人として情けない。今日のニュースで、携帯電話の契約数でドコモが首位に返り咲いたのは、ゲーム機能が付いているためだという。ゲームが経済の活発に寄与したところで、そんな元気には何の意味もない。

元気とはたくさん稼いでたくさん買うことではなく、金もモノもほどほどにして、体や頭を使って楽しく仕事をし、楽しく生活することでありたい。金やモノに執着すればするほど元気な日本は遠ざかって行くに違いない。
2012年1月12日

  1. 2012/01/12(木) 10:41:25|
  2. 政治・社会・経済
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