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縮小の時代

放射線の怖さ(2)

7月15日には、たった1ベクレル(Bq)の放射性物質の破壊力について書いた。今日は、ついでにシーベルト(Sv)について書く。ベクレルが放射性物質が出す放射線量であるのに対し、シーベルトは、人間が受ける放射線量(吸収線量)である。

生体が1kgあたり1J(ジュール)の放射線エネルギーを受ける時、その吸収線量を1グレイ(Gy)という。ところが、吸収線量としては同じ1Gyでも、人間が被る害は放射能の種類やエネルギーによっても異なるので、Gyの値に重み係数を掛けてSvとするのである。この重み係数(Wr)は:
X線、γ線、β線の場合 Wr=1
α線の場合は Wr=20
中性子線の場合は Wr=5から20 (エネルギーの強さにより異なる)など。

1Jのエネルギーは約0.24calで、普通の生活では非常に小さいが、eV(電子ボルト)に直すと624京eVという、とてつもない値である。γ線やβ線の場合は、体重1kg当り1Jの放射線を受ければ1Svだから、0.1μ(マイクロ)Svではその1000万分の1の6240億eVである。DNA分子の結合エネルギーは数eVだから、0.1μSvでも、体重1kg当り数億か所のDNA分子結合を破壊する力がある。

人間の細胞の数は、体重60kgの人で約60兆個あるという。体重1kg当りでは約1兆個である。生まれたての赤ちゃんの細胞は約3兆個というから、体重3kgとすれば、やはり1kg当り1兆個である。そうすると、毎時0.1μSvの放射線は、人間のすべての細胞内にあるDNA分子を1時間ごとに1か所切断する力がある。

これは大変な数だが、実際には何の影響をも及ぼさずに通り抜ける放射線もあり、分子結合が切断されても大して影響のない場合も、修復可能な場合もあるので、放射線のエネルギーすべてが悪い障害を与えるものではない。とはいえ、毎時0.1μSvでも、すべての細胞が1時間に1回ずつ放射線の攻撃を受けるということは、決して絶対安心だと無視できるほどではないだろう。中には致命的な影響を受けるDNA分子があるに違いない。平均0.1μSvでも、細胞によっては平均以上に放射線が集中する場合もあろう。やはり、すべて確率の問題である。

癌患者の中には、自然放射線の影響で発病した人がいるかも知れないが、それを証明できないので、自然放射線の影響ではないとされる。人工放射線でも同じで、微量だから大丈夫だというのは、たとえそれで癌になっても、人工放射線が原因だと証明することは難しい、というに過ぎない。自然放射線でも必ずしも安全とは言えないのだから、その上に重ねる人工放射線は限りなく0にする努力をすべきだろう。
2011年7月18日


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