FC2ブログ

縮小の時代

温暖化懐疑説と原発

原発事故以来、地球温暖化説を原発推進派の捏造だとして攻撃する声が高くなっているようだ。確かに、原発を推進したい人達にとっては、地球温暖化は格好の味方で、原発はCO2を出さないと盛んに宣伝している。だが、地球温暖化説のすべてが原発推進のためと単純に断じてしまうのは大きな誤りである。

原発推進説に反対するのは良いが、攻撃すべきは、彼らが地球温暖化説を肯定していることではなく、原発がCO2を出さないと言っていることであるべきだ。原発がCO2を出さないというのは誤魔化しで、発電する時にはCO2はほとんど出さなくても、放射性廃棄物の処理や、将来何百年にもわたって管理し続けるために出すCO2の量は計り知れない。原発の安全確保に巨大な費用がかかることは、福島原発事故で周知された。費用がかかることは、とりもなおさず、膨大な化石燃料を使うことなのである。そして、このことは地球温暖化が人為的かどうかの問題とは全く関係がない。

観測結果が示す事実として、地球大気の平均気温はかつてないほど急激な勢いで上昇しており、それがCO2濃度上昇と軌を一にしている。CO2濃度の上昇は化石燃料大量消費の時代と時期があっている。CO2に温室効果があることも事実である。温暖化懐疑論者は、CO2排出量の増加が気温上昇の原因ではなく、逆に地球-太陽系の持つ何か別の原因で平均気温が上昇し、それがCO2濃度上昇の原因になっていると主張している。

温暖化が本当に起こっているか、人為的なCO2排出と気温上昇のいずれが先かにまだ不明な面が残っているとしても、これらは地球物理学の高度に専門的な問題で、種々なデータから総合的に判断しなければならず、門外漢が簡単に判断できるものではない。IPCCは、人為的なCO2排出が理由で温暖化が起っている可能性が限りなく高いと見ているのである。

IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change 気候変化に関する政府間パネル)は、それ自身研究機関ではなく、世界中にある最新の知見の集大成を報告書にするために、世界中から何千人もの科学者、専門家が参加している組織である。その第三WGは温暖化緩和方策が担当だから、中には原発は緩和策の一つなどと言っている論文の紹介があるかも知れないが、温暖化現象の地球物理を担当する第一WGは原発勢力とは全く関係がない。

温暖化はしていないとか、温暖化していても人為的な原因ではないとかいう疑いがあるにしても、人為的な原因で温暖化しているという説が依然として有力である以上、予防原則を適用して対策をとる必要がある。地球環境問題は複雑で、因果関係を極めるのは難しいから、危険回避のために予防する必要があるというのが、国際的な合意である。すべてが科学的に解明できるまで待っていては手遅れなのである。これは低放射線の被害予防も同じで、低放射線量の影響が必ずしも明確でなくても、完全に安全だと言う証拠がない以上、被害を防ぐ対応をしなければならないのと同じである。

それに、温暖化しているいないにかかわらず、化石燃料消費の削減は地球環境保護の最も重要な方策の一つである。非再生可能な化石燃料の大量消費は遠からず資源の不足による大混乱を世界にもたらすし、エネルギーの大量消費自体が、あらゆる環境問題の元凶になっている。温暖化はしていないと言い立てても、地球物理学上の論争としては面白いかも知れないが、環境保護や持続可能な社会という現在の人類が直面する大きな課題からすれば、エネルギー消費削減の行動の障害になる以外に何の意味もない。
2011年7月8日


スポンサーサイト



  1. 2011/07/08(金) 23:24:56|
  2. 環境
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ

プロフィール

石田靖彦

Author:石田靖彦

フリーエリア

最新記事

----------

過去の記事一覧

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (15)
環境 (20)
エネルギー (29)
原発 (45)
伝統文化 (0)
科学と技術 (21)
政治 (12)
政治・社会・経済 (48)
文化 (3)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR