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縮小の時代

風力発電の優等生デンマークの実態

つい最近、環境省は風力発電で原発7-40基分の発電が可能だと発表した。7-40%とは大きな幅だが、平均の稼働率を24%と仮定しているから、立地の見積りの幅だろう。

40基分という最も楽観的な見積りでも、現在の原発54基の74%だから、日本の現在の発電量の30%が原子力だとしても、総発電量の22%を補えるに過ぎない。原発7基分なら、たった3.8%である。風力発電が日本の現在の電力需要にほとんど応えられないことがわかる。

風力発電は地表面積当りの発電密度や発電量の変動の点では太陽光発電以上に不利であるほか、騒音や鳥類被害という固有の問題もある。

いろいろ問題があっても、それなりに対応ができ、最終的なコストが火力発電より安上がりならば、政府が税金を使って無理に支援しなくても自然に普及するはずだ。そうならないのは、問題解決が困難で、コストの点でも結局は化石燃料より不利なのだろう。

風力発電は太陽光発電よりコスト的に有利かも知れないが、本当のところはよくわからない。いずれにしろ、火力発電より経済負担が増えるということは、火力発電より化石燃料を余計に消費することを示唆する。

風力発電の優等生としてしばしば引き合いに出されるデンマークだが、実態はどうか。いくつかの情報によると、とてもお手本になる状況ではないようだ。

2007年、デンマークは全発電量の19%を風力で発電した。しかしその多くがスエーデン、ノルウェー、ドイツ、オランダなどに輸出され、国内消費は電力需要の5-10%である。風力発電量が多い時には消費しきれないので、補助金をつけて安く輸出させる。

水力発電が豊富な北欧は、デンマークから安く電力が買える時はそれでダムに揚水し、デンマークは風力発電ができない時は北欧から輸入する。輸入価格は輸出価格より高い。その差額を払うのはもちろんデンマークの消費者である。デンマークの電力は0.32ドル/kWhで、欧州でも突出して高いという。

デンマークがコスト割れでも風力発電電力を輸出するのは、バックアップ発電所を自国内に造るより安いからであろう。風力発電を導入したら、その最大発電能力と同等な火力、水力などのバックアップ発電所が必要なのである(発電所の二重投資が必要)。

デンマークにこんな事ができるのは、近隣に需要国があり、特に北欧のダムという「電力貯蔵所」とつながっているからである。更に、人口わずか550万の小国であることにもよる。日本のお手本にはならない。

なお、近年の風力発電増加にも拘わらず、デンマークでは石炭消費量もCO2排出量も下がっておらず、一次エネルギー消費の化石燃料依存率は、アメリカと同水準だという。

風力発電の数々の問題点が表に現れないのは、まだ数が少ないからに過ぎない。増えてくると激しい発電変動への対応に莫大なコストがかかり、バックアップ火力発電の効率も下がる。ドイツでも限界に近いようだ。

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参考文献
http://www.aweo.org/problemwithwind.html
http://rightwingnews.com/environment/
u-s-should-not-repeat-germanys-wind-power-mistake/
Renewable Energy Cannot Sustain a Consumer Society
(Ted Trainer 2007 Springer)
Power Hungry (Robert Bryce 2010 PublicAffairs)
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2011年5月19日

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  1. 2011/05/19(木) 14:14:44|
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