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縮小の時代

「この程度の放射線は健康に全く影響ない」は科学的精神にもとる

肩書だけは立派な多くの学者達が、低線量の放射線は健康に全く影響がないと言いふらしている。しかし、これは科学精神からかけ離れている。

低線量でも放射線が人体に影響する可能性があるのは、理論的にも否定できない。たった一つの核崩壊から出る放射線のエネルギーでも、DNAを構成する原子や分子の結合エネルギーの何十万倍もある。放射線が当たってDNA分子が壊れても、排出や自己修復によって実害にならない場合もあるが、DNA分子に当たる放射線のエネルギーは莫大だから、どこかで異常になったDNAが複製増殖される可能性は否定できない。

病原菌など微生物の場合は、一定量以下なら体内の抗体物質で駆除できるかも知れないし、化学物質の場合は増殖することがないから、一定量以下なら大きな影響はない、とも言える。

一方、放射線によって受けるDNAの損傷は物理現象だから確率的である。その上異常DNAの増殖もあり得る。私はこの道の専門家ではないが、放射線の被害には閾値がなく、低線量でも確率的である、という説が否定できない理論的根拠がここにあるのかも知れないと感じている。

これに反して、低線量なら健康に全く影響しないという理論的な根拠があるようには思えない。健康に影響ないという学者達も、その理論的根拠を出しているわけではない。
「低線量の影響はない」派のよりどころはただ一つ、疫学的なデータでしかない。ところが、疫学的データは、「被害者が皆無であった」というデータでない限り、「影響は全くない」の証拠にはならないのである。

自然環境にも放射線が存在する。宇宙線によるもの以外に、核実験や原発などによる人工的な放射性物質があまねく広がっていることにもよるだろう。それによる被曝がたとえ年間1mSv以下でも、多くの癌患者のすべてが、環境放射能の影響ではないと証明することは不可能だろう。

放射線の直接的影響でなくとも、放射線の影響で体力や抵抗力が弱ったために別の病名で死亡することもあるのではないか。これらは全く起こり得ない、という証明も不可能だろう。
健康への影響が皆無であることを証明できない限り、影響ありの可能性を考えるのが科学的態度ではなかろうか。

理論的にもデータ的にも証明できないのに、低線量の放射線は健康に全く影響がない、と言い張る学者は科学的な思考能力に欠けており、すでに学者ではない。
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  1. 2011/05/09(月) 13:34:12|
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